QGISのマップに新しいレイヤ(データ)を追加する方法
この記事でわかること
- QGISにシェープファイル(Shapefile)形式のデータを追加する方法
- 国土数値情報のデータのダウンロード手順
- 複数のレイヤを同時にQGISに追加する方法
こんな人におすすめ
- 国土数値情報のデータをQGISで表示してみたい方
- シェープファイル(Shapefile)形式のデータの取り扱いにお困りの方
はじめに
QGISでレイヤ(データ)の可視化や分析したりするための最初のステップとして、まずはQGISにレイヤを追加する必要があります。
QGISはさまざまな形式のデータに対応していますが、ここではオープンデータとしてよく利用されているファイル形式であるシェープファイル(Shapefile)形式のデータの追加方法について紹介します。
国土数値情報からデータのダウンロード
データの中身を見ていくために、まずはデータのダウンロードから進めていきましょう。この記事では、国土交通省が土地利用状況や災害リスク情報など、国土に関する基礎的な情報をオープンデータとして無償で提供している「国土数値情報」から、行政区域データをダウンロードして使用します。
国土数値情報からのデータのダウンロードについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
下記のリンクを開き、下にスクロールすると、地域ごとにダウンロードボタンが表示されます。どこの地域のデータでも問題ないので、お好みのデータをダウンロードしましょう。この記事では、東京都のデータをダウンロードして使用します。
https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-N03-2024.html
ダウンロードしたデータはZipファイルで圧縮されているので、解凍してわかりやすい場所(ディレクトリ)に配置しておきます。
ダウンロードしたデータの中身について
上記の手法でダウンロードした行政区域データの中身を確認してみると、同じファイル名でさまざまな拡張子のデータが格納されていることがわかります。
このうち、下記の図の赤枠で囲んだ5つのファイルでひとつのシェープファイル形式のデータとなっています。
なお、.geojson
は「GeoJSON」という別のベクタデータの形式で、このファイル単体で動作します。
シェープファイル(Shapefile)とは、GISで広く使用されているベクターデータの保存形式の一つです。
シェープファイルは、地理的な形状のデータとそれに関連する属性情報を保存するためのファイルなど複数のファイルで構成されたデータ形式となっており、これらのファイルが同じディレクトリに格納されていることで、シェープファイルとして一つのデータセットを構成します。
そのため、同じディレクトリにこれらのデータを入れた上で、.shp
と書かれたファイルをインポートすることでQGISに追加できます。
シェープファイル形式について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
レイヤの追加
では、ダウンロードした行政区域レイヤをQGISに追加します。ここでは、「データソースマネージャ」から追加する方法と「ドラッグ&ドロップ」の二通りのレイヤ追加方法について紹介します。
データソースマネージャによるレイヤの追加
まずは、基本的なレイヤの追加方法であるデータソースマネージャを使ったレイヤの追加方法です。
データソースマネージャは、メニューバーから[レイヤ]→ [データソースマネージャ]を選択することで表示されます。
データソースマネージャの左側には、さまざまな形式やソースのデータが並んでおり、まずはここから追加対象のデータを選択します。
今回は追加したいのはシェープファイルなので[ベクタ]タブを選択します。続いて、「ソース」の「ベクタデータセット」の右側にある[•••]ボタンをクリックします。
ファイル選択画面が開くため、QGISに追加したいデータを選択します。
今回は、シェープファイル形式のデータを追加するには、拡張子が.shp
のファイルを選択し、[開く]をクリックしましょう。
データソースマネージャに戻ると、ベクタデータセットの欄に上記で選択したデータのパスが入力されていることが確認できます。
下部の[追加]ボタンをクリックしましょう。
データソースマネージャを閉じてマップキャンバスを確認してみましょう。島しょ部も含まれているため全体像がわかりづらいですが、東京都の行政区域データが表示されました。
ドラッグ&ドロップによるレイヤの追加
ファイルをQGISにドラッグ&ドロップする手順でも、簡単にQGISにデータを追加できます。
追加したいデータが格納されているフォルダを表示し、.shp
ファイルをQGISの画面内にドラッグ&ドロップします。
マップキャンバスに、東京都の行政区域データが表示されました。
複数レイヤを同時にQGISに追加する
上記では、一つのデータをQGISに追加を行いましたが、大量のデータを一つ一つ追加するのも大変なので、同時に複数のデータをQGISに追加する方法についても紹介します。
ここでは、国土地理院が公開している「地球地図日本」のデータを使用します。
https://www.gsi.go.jp/kankyochiri/gm_jpn.html
データソースマネージャによるレイヤの追加
これまでと同様の手順でデータソースマネージャを開き、ファイル追加画面を表示します。
このまま追加したいレイヤを複数選択することも可能ですが、.shp
ファイルのみ表示するようにするとデータの選択がしやすいため、下部の「全ファイル」と表示されているプルダウンをクリックし、一覧から[ESRI Shapefiles]を選択します。
すると、フォルダ内の表示が.shp
ファイルのみにフィルタリングされるため、追加したいデータを複数選択し、下部の[開く]ボタンをクリックします。
あとは、同様の手順です。データソースマネージャの「ベクタデータセット」に選択したレイヤのパスが追加されていることを確認し、[追加]をクリックします。
複数のレイヤを一度に追加することができました。
ドラッグ&ドロップによるレイヤの追加
ドラッグ&ドロップでの複数レイヤの同時追加も基本的には、同様の手順で行います。
ここでも.shp
ファイルのみ表示するようにするとデータの選択がしやすいため、まずは、フィルタリングを行ってみましょう。
フォルダを開き、「種類」の列の[∨]をクリックし、[SHPファイル]にチェックを入れます。
.shp
ファイルのみがフィルタリングして表示されました。続いて、複数の.shp
ファイルを選択し、QGISの画面内にドラッグ&ドロップします。
複数のレイヤを一度に追加することができました。
レイヤ追加時に座標系の指定画面が表示された場合
シェープファイルをQGISに追加しようとした場合、下記のように「レイヤxxxのCRSを指定してください」という座標系を選択する画面が表示される場合があります。
これは、追加しようとしているシェープファイルに.prj
ファイルがなく、どの座標系で作成されているレイヤなのかQGISが判断できないため表示されています。
この画面が表示された場合は、まずはレイヤがどの座標系で作成されているか確認しましょう。
今回使用しているデータは国土数値情報の湖沼データになりますが、湖沼データのページを確認すると座標系が「JGD2000 / (B, L)」であることが記載されています。
これは、JGD2000という測地系の緯度・経度(B, L)の座標系で作成されていることを示しているので、座標系の指定画面でこれを選択します。
まずは、フィルタにJGD2000
と入力します。「あらかじめ定義された座標参照系(CRS)」がフィルタリングされた状態になるため、緯度経度の座標系を示す[地理座標系(2D)]をクリックし、その中にある[JGD2000(EPSG:4612)]を選択後、[OK]をクリックします。
マップキャンバスを確認してみると、背景地図と重なり、正しい位置に湖沼データが表示されていることが確認できます。
このように座標系を正しく設定しないと、実際の場所とはずれて表示されてしまうため、座標系の指定画面が表示された場合は、追加しようとしているレイヤが何の座標系で作成されているかを確認し、正しく座標系を設定するようにしましょう。
おわりに
QGISにレイヤを追加する方法について、この記事ではシェープファイルを例に、基本的なデータの取り扱い方法や効率的に複数のレイヤを追加する手順を解説しました。
データソースマネージャでもドラッグ&ドロップどちらでも、レイヤの追加は可能なのでお好みの方法でレイヤを追加するのがよいでしょう。