国交省提供データをQGISに!国土数値情報データのダウンロードとQGISへの追加方法の解説
この記事でわかること
- 国土数値情報ダウンロードサイトのGISデータ取得手順
- ダウンロードしたデータをQGISで表示する方法
- ダウンロードしたデータの属性データの見方
こんな人におすすめ
- 国土数値情報のGISデータを扱いたい方
- 国土数値情報でダウンロードしたデータをQGISで表示してみたい方
はじめに
国土数値情報は、日本国内のさまざまな地理情報を提供するオープンデータプラットフォームです。ここでダウンロードできるデータはQGISなどのGISソフトウェアで簡単に利用可能です。データはさまざまな分野にわたるため、GISを日常的に使う人であればほとんどの人が使ったことがあるでしょう。
この記事では、国土数値情報からGISデータをダウンロードする方法と、そのデータをQGISで表示する手順を詳しく解説します。
国土数値情報とは?日本のオープンデータプラットフォーム
国土交通省が提供している日本国内の地理情報を体系的にまとめたオープンデータのダウンロードサイト(プラットフォーム)です。地形、土地利用、公共施設など国土に関するさまざまなGISデータが提供されています。
国土数値情報は大きくわけて、以下の5つの分野をカバーしています(出典:国土数値情報ダウンロードサイト)。
分類 | 概要 |
---|---|
1.国土(水・土地) | わが国の国土の輪郭である「海岸線」や「土地利用」データ 例) 海岸線、河川、土地利用、森林地域など |
2.政策区域 | 法律や一定の目的で区分けしているエリアのデータ 例) 市町村の境界線(行政区域)、洪水浸水想定区域、人口集中地区など |
3.地域 | 各地にある公共施設や観光資源などのデータ 例) 役場、公共施設、世界自然遺産の場所など |
4.交通 | 道路・鉄道・空港・港湾など交通に関するデータ 例) 鉄道、駅別乗降客数、バスルート、空港など |
5.各種統計 | 統計に関するデータ 例) 将来推計人口 |
サイトでは、原則として無償でデータが提供されていますが、商用利用の可否はデータセットごとに異なるため、その都度確認が必要です。
GISデータのダウンロードとQGISでの表示方法
国土数値情報ダウンロードサイトにアクセス
まず、GISデータをダウンロードするために、国土数値情報ダウンロードサイトにアクセスします。サイトでは、全国規模の地理空間情報がカテゴリごとに分類されているため、必要なデータを簡単に見つけられるでしょう。
データの選択と確認
必要なデータセットを見つけたら、目的のデータを選択します。ここでは、[2. 政策区域]→[行政地域]内にある[行政区域(ポリゴン)]を使用します。
ダウンロードページを確認すると、「更新履歴」や「内容(データの説明)」「作成方法」、「このデータの使用許諾条件」、「座標系」などさまざまな情報が記載されていることが確認できます。
国土数値情報のデータを使用する上で、特に確認すべきは「このデータの使用許諾条件」です。データごとに商用利用が許可されているかが異なるため、必ずデータセットの「このデータの使用許諾条件」を確認しましょう。
たとえば、「鉄道データ」においては、「2020年度以降:適用する利用規約に基づく、上記以外:商用可」となっており、基本的には商用利用が可能となっています。
しかしながら、「鉄道時系列データ」については、「非商用」となっており商用利用することができません。
今回ダウンロードする「行政区域データ」については、「国土数値情報ダウンロードサイトコンテンツ利用規約(政府標準利用規約準拠版)に基づくオープンデータ」と記載されているため、「国土数値情報ダウンロードサイトコンテンツ利用規約」のページを確認した上で利用しましょう。
データのダウンロード
「行政区域データ」ページを下にスクロールすると、「ダウンロードするデータの選択」という画面が表示されます。「行政区域データ」の場合は、データの単位として、「全国・地方」と「都道府県」で単位で分かれているので、目的のデータの単位を選択しましょう。ここでは、[愛知県]を選択しました。
自動で画面がスクロールして、選択したエリアが行が表示されるので、目的のエリアの行の一番右にある[ダウンロード]ボタンをクリックしましょう。
画面上に、「国土数値情報ダウンロードサイト ユーザーアンケート」が表示されます。
ダウンロードのたびにアンケートを回答する必要はありませんが、今後の国土数値情報のデータ整備の参考となるので、ぜひ回答するとよいでしょう。
アンケートを送信するか、右下の[スキップする]をクリックすると、ダウンロードが開始されます。
データの確認
サイトからダウンロードしたGISデータのZipファイルを解凍し、中身を確認してみましょう。データセットや整備年によって格納されているファイルが異なりますが、行政区域データには以下のデータが格納されています。
それぞれのデータの概要は以下の通りです。
ファイル | 概要 |
---|---|
.shp, .shx, .dbf, .prj, .cpg, (.xml) | Shapefileのデータ |
.geojson | GeoJSON形式のデータ |
META-xxx.xml | データセットの種類や属性情報を記述したメタデータ |
サイトでは、Shapefileで公開されているデータが多数あります。GeoJSONは主にWebGISで利用されるデータ形式です。GeoJSONもQGISで表示することができますが、大規模なデータを扱う場合にはパフォーマンスに影響が出ることがあります。
ベクタデータの形式について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
QGISにデータの追加
では、ダウンロードしたデータをQGISに表示してみます。データによってはGeoJSON形式で格納されていないものもあるため、今回はShapefileを使用します。SHP
形式のデータをQGISにドラッグ&ドロップしましょう。
愛知県の行政区域データがマップキャンバス上に表示されました。
国土数値情報データの属性テーブルの見方
属性名の確認の仕方
続いて、属性テーブルを確認してみます。レイヤパネルよりレイヤを右クリックして、[属性テーブルを開く]をクリックします。
属性テーブルの属性名を確認してみると、「N03-001」から「N03-007」のようにアルファベットと数字で構成されていることが確認できます。
属性名が何を表しているのか確認したい場合には、それぞれのデータセットのダウンロードページを確認する必要があります。今回使用している「行政区域データ」のダウンロードページを確認してみると上部の属性情報の欄に、それぞれの属性名と説明が記載されていることが確認できます。
属性名が何を示しているのかを確認したい場合は、それぞれのデータセットのダウンロードページの「属性情報」を確認しましょう。
属性値の確認の仕方
行政区域データの「N03_007(全国地方公共団体コード)」の列を確認してみると、コードリストで値が格納されています。
上記の例のように国土数値情報データの中には、一部の属性がコードリストで格納されている場合があります。
この値が何を示しているのか確認したい場合は、上記と同じように、それぞれのデータセットのダウンロードページの「属性情報」を確認しましょう。対象の属性の欄に、[コードリスト]のリンクなどがあるので、そちらをクリックしましょう。
「全国地方公共団体」のコードリストの場合はExcel形式のデータとなっており、こちらでコードに対応する市区町村名などを確認できます。
このように、国土数値情報データには、属性名や属性値がコードで表記されている場合があるので、データセットのダウンロードページからコードの意味を確認しましょう。
おわりに
国土数値情報では、日本国内のさまざまな地理空間情報データを無償で提供されており、QGISを使って簡単に表示・活用することができます。しかし、データごとに商用利用の可否などの利用条件が異なっていたり、属性がコードで表記されているため、これらの情報を事前に確認しながら作業をすることが必要です。