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QGIS 3.42新機能〜ラスタデータのラベリングが可能に〜

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この記事はQGIS 3.42を使用しています。 現在のLTR(3.40)では利用できません。

この記事でわかること


  • QGIS 3.42の新機能
  • シンボロジやレイアウト機能の新しい設定方法
  • STACデータ統合やSQL実行などのデータ管理機能の強化

こんな人におすすめ


  • QGISの最新機能に興味のある方
  • 地図のデザインやラスタデータの可視化に興味がある方
  • より効率的にデータ管理や解析を行いたい方

はじめに

2024年2月21日にバージョン3.42「Münster」がリリースされました。

「Münster」という名前を見ると、多くの人が異なるイメージを思い浮かべるかもしれません。例えば、アイルランドの強豪ラグビーチーム「マンスター」を思い浮かべる人もいれば、フランス東部の美味しいチーズで知られる「マンステール」の町を連想する人もいるでしょう。しかし、「Münster」の「ü」のウムラウトに注目すると、これはドイツ西部にある美しい街「ミュンスター」であることがわかります。

この記事では、バージョン3.42のチェンジログから、いくつかの新機能をご紹介していきます。

シンボロジ

ラスタデータのラベリング

ラスタデータのピクセルに対して、ラスタバンドの値をラベルとして表示できるようになりました。

これまでのバージョンでは、「地物情報を表示」ツールを使ってピクセルの値を1つずつ確認する必要がありましたが、新しく追加されたラベリング機能により、ラスターデタの可視化がより便利になりました。ラベルはQGISのラベリングエンジンに登録されるため、他のラベルとの衝突回避や重なりの調整が自動で行われます。

ラスタバンドの値をラベルとして表示(©︎OpenStreetMap contributors)
ラスタバンドの値をラベルとして表示(©︎OpenStreetMap contributors)

シンボルの描画範囲を広げるバッファ設定

これまでのバージョンでは、マップキャンバスの範囲内にある地物のみがレンダリングの対象とされていました。

たとえば、ジオメトリジェネレータでポリゴンを生成していた場合、ポイントがマップキャンバス内にないと、ポリゴンがレンダリングされませんでした。

この問題を解決するために、シンボルの新しい設定オプションとして、キャンバスの表示範囲にシンボルの描画範囲を設定できる機能が実装されました。設定手順は以下のとおりです。

  1. シンボルを選択
  2. [詳細]をクリック
  3. [Extent Buffer…]をクリック
  4. マップキャンバスのバッファ距離を設定
シンボルの描画範囲の設定手順
シンボルの描画範囲の設定手順

これにより、ユーザーが定義した範囲内で追加のフィーチャを含めることができ、描画パフォーマンスを維持しつつ、複雑なデータの視覚化を最適化できます。

ポイントがマップキャンバス内にないがシンボルがレンダリングされている(©︎OpenStreetMap contributors)
ポイントがマップキャンバス内にないがシンボルがレンダリングされている(©︎OpenStreetMap contributors)

レイアウト

ページプロパティをすべてのページに適用

マルチページのレイアウト編集を効率化するために、「Apply to all Pages」ボタンがページプロパティパネルに追加されました。

これにより、複数ページのレイアウト設定を一括で適用でき、複雑なレイアウト編集の手間を大幅に削減できます。

ページ3のサイズや背景が、すべてのページに適用された(©︎OpenStreetMap contributors)
ページ3のサイズや背景が、すべてのページに適用された(©︎OpenStreetMap contributors)

レイアウトのエクスポート時にJPEGの画質設定が可能

印刷レイアウトのJPEGエクスポートオプションに新しい画質パラメータが追加されました。これにより、ファイルサイズなどのエクスポート設定をより細かく調整できるようになりました。

レイアウトのJPEGエクスポートに画質設定
レイアウトのJPEGエクスポートに画質設定

データマネジメント

STACデータの統合

STAC(Spatial Temporal Asset Catalog - 時空間アセットカタログ)は、データプロバイダが提供する「画像」「SAR (合成開口レーダー)」「点群データ」など、地理空間データを「カタログ」としてまとめることで検索・共有できるようにするための標準仕様です。

QGISバージョン3.40から、STACデータカタログのデータをブラウザパネルから直接読み込むことが可能になりました。そして、バージョン3.42ではさらに以下の改善が加えられています。

  • データソースマネージャーからSTACデータカタログにアクセス可能
  • マップの表示範囲や日付でカタログ内の検索結果をフィルタリング可能
  • カタログ内のオブジェクトの範囲をマップキャンバス上に表示可能

STACデータカタログには膨大な数のデータが含まれているため、より簡単に目的のデータを検索できるようになり、これらの新機能はとても便利です。

データソースマネージャーからSTACデータカタログにアクセス(©︎OpenStreetMap contributors, contains modified Copernicus Sentinel data 2024)
データソースマネージャーからSTACデータカタログにアクセス(©︎OpenStreetMap contributors, contains modified Copernicus Sentinel data 2024)

レイヤのコンテキストメニューからSQLクエリを実行

レイヤパネルから、対応するレイヤに対して直接SQLクエリを実行できるようになりました。

これにより、複雑なフィルタリングの実行や統計データの取得がスムーズに行えるようになり、データ分析の効率が向上します。

行政区画単位別の都道府県集計(「国土数値情報(行政区域データ)」(国土交通省)を加工して作成)
行政区画単位別の都道府県集計(「国土数値情報(行政区域データ)」(国土交通省)を加工して作成)

バージョンアップ方法

こちらの記事では、バージョンアップの方法について詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

おわりに

QGISバージョン3.42「Münster」では、シンボルの描画範囲のバッファ設定やラスタデータのラベリング機能など、視覚化を強化する機能が追加されました。さらに、レイアウト編集の効率化やSTACデータの統合、SQLの直接実行など、データ管理や作業フローをよりスムーズにする機能も充実しています。

今回ご紹介した機能以外にも様々な新機能が実装されています。その他の新機能については、チェンジログでご確認いただけます。

この記事を書いた人
QGIS LAB編集部
QGIS LAB編集部

QGIS LABは、オープンソースのGISソフトウェア「QGIS」に関する総合情報メディアです。「位置と情報で世界を変える」をコンセプトに、位置情報で世界を拓くための知識と技術をお届けします。

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