QGISでポリゴン内の地物の値を集計する方法!〜属性の空間結合(集計つき)の使い方〜
この記事でわかること
- QGISの「属性の空間結合(集計つき)」機能でできること
- ポリゴンごとに対象レイヤの属性値を集計する具体的な手順
- 集計結果を見やすく確認する方法
こんな人におすすめ
- ポリゴンごとにポイントやラインの属性値を集計したい方
- 市区町村やメッシュなど、エリア単位で統計値を出したい方
- QGISのプロセシングツールを使って分析作業を効率化したい方
はじめに
QGISで空間データを扱っていると、「このエリアの中にある地物の数や値を集計したい」という場面がよくあります。たとえば、市区町村ごとの地価の傾向を見たい、メッシュごとの施設数を集計したい、商圏ごとにポイントデータの件数を把握したい、といったケースです。
そんなときに便利なのが、QGISのプロセシングツール「属性の空間結合(集計つき)」です。この記事では、行政区域データを使って市区町村ごとの地価公示価格を集計し、最小値・最大値・平均値などの統計情報を取得する方法をわかりやすく紹介します。
属性の空間結合(集計つき)とは?
「属性の空間結合(集計つき)」は、ポリゴン内に含まれるポイントやラインなどの地物の属性値を集計し、その結果をポリゴン側の属性として付与できる機能です。
たとえば、市区町村ポリゴンの中に含まれる地価公示ポイントから、個数、最小値(min)、最大値(max)、平均、合計(sum)などをまとめて計算できます。単に地物同士を結び付けるだけでなく、指定した空間関係を満たす複数地物の属性値を平均や合計などで集約しながら結合できるのが大きな特長です。

なお、空間結合の基礎や通常の使い方について知りたい方は、まずこちらの記事をご覧ください。
行政区域データを用いて地価公示価格を集計する手順
ここでは、市区町村ごとに地価公示価格の最小値・最大値・平均値を集計する流れを紹介します。
1. データを追加する
今回は、国土数値情報の行政区域データと地価公示データを使用します。二つのデータをダウンロードして、QGISに追加します。

2. 行政区域データを市区町村単位にまとめる
行政区域データの属性テーブルを確認すると、「N03_004」列に市区町村名が格納されています。ただし、飛地を持つ市区町村などは、同じ市区町村でも複数のポリゴンに分かれている場合があります。

このまま集計すると、市区町村単位ではなくポリゴン単位で結果が分かれてしまうため、事前に同じ市区町村名を持つポリゴンを1つのマルチポリゴンにまとめておきます。
メニューバーから[空間演算ツール]→[融合]を選択します。
![メニューバーから[空間演算ツール]→[融合]を選択](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/4abf5f60b41741b1bf46aec6824b7e7e/howto_spatial-join_summary_03.png?w=1080&fm=webp)
入力レイヤには[行政区域]レイヤを選択し、基準となる属性は[N03_004(市区町村名)]を指定します。設定後、[実行]をクリックしましょう。

処理が完了すると、「融合ポリゴンの出力」という新しいレイヤが追加されます。元のレイヤと区別しやすいように、「行政区域_融合済」などの名前に変更しておきます。
図形の見た目はほとんど変わりませんが、同じ市区町村名のポリゴンが1つのマルチポリゴンに統合された状態になり、6904個あった地物数が63個に減少していることがわかります。

融合ツールについては、次の記事で詳しく紹介しているのであわせてご覧ください。
3. 属性の空間結合(集計つき)を実行する
行政区域レイヤの準備ができたら、次は集計を実施します。メニューバーから[プロセシング]→[ツールボックス]を開きます。
![メニューバーから[プロセシング]→[ツールボックス]を選択](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/24c2b8e36019476eb6faba27c41fa34f/howto_spatial-join_summary_06.png?w=1080&fm=webp)
検索欄に「集計」と入力し、検索結果から「属性の空間結合(集計つき)」をダブルクリックします。

設定画面が表示されたら、以下のように設定します。
- 地物を結合するレイヤ:[行政区域_融合済]
- 地物の空間関係:[交差する(intersect)]にチェック
- 比較対象:[地価公示]
- 集計する属性:[L01_008(地価公示価格)]にチェック
- 計算する集計関数:そのままでOK
設定が完了したら、[実行]をクリックします。

処理が終わると、レイヤパネルに「出力レイヤ」が追加されます。
集計結果を確認する
属性テーブルを開くと、7列目以降に集計結果が格納されていることを確認できます。

市区町村ごとの集計結果を見やすく確認したい場合は、右下のボタンからフォーム表示に切り替えるのがおすすめです。1つのエリアに対する値をまとめて確認しやすくなります。

フォーム表示に切り替えたら、左上のプルダウンから[列]→[N03_004(市区町村名)]を選択しましょう。すると、左側のリストが市区町村名で表示されるようになります。

リストから「渋谷区」を選択して結果を確認してみます。以下のようにさまざまな集計結果が格納されていることが分かります。
- 地価公示ポイント数:58地点(L01_008_count)
- 最低価格:952,000円(L01_008_min)
- 最高価格:35,300,000円(L01_008_max)
- 平均価格:6,097,793円(L01_008_mean)

このように「属性の空間結合(集計つき)」を使うことで、行政区域などのポリゴンごとに地価公示などのデータを効率よく集計し、最小値・最大値・平均値などの統計情報を一括で取得できます。エリアごとの地価動向の把握や、地域間の価格比較にも活用しやすい結果になります。
おわりに
この記事では、QGISの「空間結合(集計つき)」を使って、ポリゴン内に含まれる地物の属性値を集計する方法を紹介しました。
この機能を使えば、単に地物を重ね合わせるだけでなく、エリア単位での傾向把握や比較分析まで効率よく進められます。市区町村別の価格分析はもちろん、施設数の集計やメッシュごとの件数把握など、さまざまな場面で応用しやすいツールです。
ポリゴン単位で統計情報を整理したいときは、ぜひ「空間結合(集計つき)」を活用してみてください。
使用データ


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