QGISで属性ごとにポリゴンを結合するには?ディゾルブ(融合)の手順を解説
この記事でわかること
- ディゾルブ(融合)ツールの基本的な使い方
- 属性を基準に地物をまとめる手順
- ディゾルブ後の属性の扱い方
こんな人におすすめ
- 市区町村データを都道府県単位にまとめるなど、地域区分や行政界をまとめたい方
- 属性ごとにポリゴンを集約したい方
- ジオメトリ演算の基礎を学びたい方
はじめに
QGISには、隣接するポリゴンや線を共通の属性でまとめる「ディゾルブ(融合)」という機能があります。市区町村データを都道府県単位にまとめるなど、データの集約や再構成に便利です。
この記事では、QGISの「ディゾルブ」ツールを使って、属性を基準に地物を統合する方法を紹介します。
ディゾルブとは
「ディゾルブ(融合)」は、指定した属性の値が同じ地物を一つのジオメトリにまとめる処理です。ポリゴン、ライン、ポイントいずれにも利用できますが、特に行政界などの面データでの利用が一般的によく使用されます。
たとえば、市町村の行政区域を示すレイヤを例に説明すると、市区町村ごとに分かれているポリゴンを、都道府県ごとにまとめることができます。

また、行政区域レイヤは、飛地や離島によって市区町村の地物が分かれている場合があります。ディゾルブを使えば、これらを一つの地物にまとめることができます。
たとえば、愛知県のデータを例にすると、常滑市は中部国際空港などの飛地があるため、4つの地物に分かれています。

このデータを市町村名フィールド(N03_004)でディゾルブすると、見た目は変わりませんが、「常滑市」という名称を持つ4つのポリゴンが一つの地物にまとまります。ジオメトリは複数ですが、属性テーブルでは1行として扱われます。

このように、同じ名前を持つ地物を一つにまとめることで、市区町村や都道府県といった単位ごとの分析や集計が行えるようになります。
行政区域レイヤをディゾルブする
それでは、行政界データを使って、ディゾルブを行う手順を説明します。
入力レイヤを確認
例として、国土数値情報の愛知県の行政区域データを使用します。
属性テーブルを確認すると、地物数は1033あり、「N03_004」フィールドに市町村名が格納されていることがわかります。

ディゾルブを開く
メニューバーより[ベクタ]→[空間演算ツール]→[融合(dissolve)]を選択します。
![[融合(dissolve)]を選択](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/8311b374c651436192e900a4097b7b9e/howto_dissolve_05.png?w=1080&fm=webp)
融合ツールの画面が開きます。

ディゾルブの実行
では、行政区域レイヤに融合処理を実行してみます。融合処理で設定する主な項目は、「入力レイヤ」と「基準となる属性」です。
「基準となる属性」はオプションとなっており、設定しない場合は、入力レイヤのすべての地物が一つに融合されます。設定した場合は、同じ属性値を持つ地物同士が融合されます。
今回は、入力レイヤに[行政区域レイヤ]、基準となる属性に[市町村名フィールド(N03_004)]を設定して[実行]ボタンをクリックします。市町村を示すフィールドを基準となる属性として設定し、融合処理を実行します。

結果を確認
融合処理が完了すると、「融合ポリゴンの出力」という名称のレイヤがQGISに追加されます。
今回は市町村名を基準にディゾルブを行ったため、見た目に変化はありませんが、属性テーブルを確認すると、元々1000以上あった地物数が55に減少しています。これにより、同じ市町村名を持つ地物が一つにまとまったことがわかります。

ディゾルブの注意点
たとえば、市町村の行政界レイヤから都道府県ポリゴンを作成した場合、もともと市町村レベルで持っていた属性情報(市町村名、市町村コードなど)が、都道府県単位にまとめられることで、個別の市町村情報としての意味を失ってしまいます。
そのため、ディゾルブしたあとに不要になった属性については整理するとよいでしょう。

おわりに
ディゾルブは、データの整理や集計作業を行う際に欠かせないツールの一つです。行政単位の再構成、土地利用区分の簡略化、境界線の統合をはじめとして、さまざまな場面において幅広く活用することができるため、ぜひ使い方を覚えて、日々の分析作業に役立ててください。
データ出典
- 「国土数値情報(行政区域データ)」(国土交通省)


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