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データ入力を効率化!QFieldで属性値をワンタップ入力にする設定ガイド

投稿日: 最終更新日:
この記事はQGIS 3.40を使用しています。

この記事でわかること


  • QFieldでトグルスイッチやドロップダウンメニュー形式の属性を設定する方法
  • QGISの属性フォームを活用して、QFieldの入力作業を効率化する手順

こんな人におすすめ


  • 現地調査でQFieldを使っていて、データ入力を効率化したい方
  • 属性入力時のミスをなくし、データの正確性を高めたい方
  • QGISとQFieldを連携させて、よりスムーズな調査ワークフローを構築したい方

はじめに

QFieldはQGISと近い環境を持ちながらも、スマホやタブレットで利用できる便利なアプリケーションです。ただし、現地調査では、効率的にデータを入力するために使いやすいインターフェースが重要です。

QFieldの初期設定では属性データをキーボード入力する必要があり、これが入力ミスを招きやすい状況になっています。

手動で入力する場合は入力ミスが発生する可能性(地理院タイルを加工して作成)
手動で入力する場合は入力ミスが発生する可能性(地理院タイルを加工して作成)

この問題を解決するために、QFieldの属性にトグルスイッチやドロップダウンメニューなどを設定すると、データ入力の効率性と正確性を大幅に向上させることができます。本記事では、これらの効率的な属性入力方法の設定手順について詳しく解説します。

トグルスイッチの設定方法

トグルスイッチは、一回のタップで真偽値(TRUE、FALSE)を入力することができます。QFieldでトグルスイッチを使用するには、QGIS上であらかじめ行う必要があります。

トグルスイッチの属性(地理院タイルを加工して作成)
トグルスイッチの属性(地理院タイルを加工して作成)

QGISでの属性の設定方法

QGISでは、ブール型の属性を使用し、レイヤの属性フォームでウィジェット型をチェックボックスとして設定する必要があります。

QGISプロジェクトを開き、ブール型の属性(この例では「hanami」)を追加します。次に、対象レイヤのプロパティを開き、「属性フォーム」から対象の属性のウィジェット型を[チェックボックス]に設定しましょう。

QGISの属性フォームから、ウィジェット型を[チェックボックス]に設定
QGISの属性フォームから、ウィジェット型を[チェックボックス]に設定

設定が完了すると、対象の属性はチェックボックスで簡単に入力できるようになります。

ブール型の属性がチェックボックスとして表示された
ブール型の属性がチェックボックスとして表示された

属性フォームの設定方法について詳細を知りたい方は、以下の記事を参照してください。

QFieldでの反映

次に、この設定がQFieldアプリでどのように表示されるか確認しましょう。QGISプロジェクトを保存し、モバイルデバイスに転送してください。プロジェクト転送方法については、以下の記事で紹介しています。

プロジェクトの転送が完了したら、QFieldで対象のプロジェクトを開きます。編集モードで地物をタップすると、該当の属性がトグルスイッチとして表示されています。一度タップするだけでON/OFFを切り替えられるため、現場での作業効率が大幅に向上します。

ブール型の属性がトグルスイッチとして表示された(地理院タイルを加工して作成)
ブール型の属性がトグルスイッチとして表示された(地理院タイルを加工して作成)

ドロップダウンメニューの設定方法

選択肢の属性では、あらかじめ定義された値の中から入力値を選択します。これにより、現場での値の選択が手動入力よりも効率的になり、入力ミスを防止できます。

ドロップダウンメニュー形式の属性(地理院タイルを加工して作成)
ドロップダウンメニュー形式の属性(地理院タイルを加工して作成)

QGISでの属性の設定方法

前述と同様に、QGIS上で事前に設定を行う必要があります。まず、レイヤにテキスト型の属性(この例では「sakura_type」)を追加します。次に、属性フォームで対象の属性を選択し、ウィジェット型を[バリューマップ]に指定して、入力可能な値を設定します。

QGISの属性フォームから、ウィジェット型を[バリューマップ]に設定
QGISの属性フォームから、ウィジェット型を[バリューマップ]に設定

設定が完了すると、対象の属性はドロップダウンメニューから設定できるようになります。

テキスト型の属性がドロップダウンメニューとして表示された
テキスト型の属性がドロップダウンメニューとして表示された

QFieldでの反映

QFieldアプリで設定を確認しましょう。モバイルデバイスにプロジェクトを転送後、対象レイヤの地物を選択して属性編集画面を開くと、設定した属性がドロップダウンメニューとして表示されます。これにより、事前に定義した値から簡単に値を選択できるようになり、入力作業が効率化されます。

QFieldでテキスト型の属性がドロップダウンメニューで表示された(地理院タイルを加工して作成)
QFieldでテキスト型の属性がドロップダウンメニューで表示された(地理院タイルを加工して作成)

選択ボタン形式への変更方法

QFieldでは、ドロップダウンメニューに加えて、以下の図のような選択ボタン形式でもデータを入力できます。この形式は選択肢が少ない場合に特に効果的で、すべての選択肢が画面上に一覧表示されるため、ワンタップで素早く入力できます

選択ボタン形式のイメージ(地理院タイルを加工して作成)
選択ボタン形式のイメージ(地理院タイルを加工して作成)

選択ボタン形式を設定するには、上述の手順でQGISで対象の属性をバリューマップ型として設定した後、さらに追加の設定が必要です。対象レイヤのプロパティを開き「QField」タブを選択します。このタブはQField Syncプラグインをインストールすると表示されるようになります。

レイヤプロパティから「QField」タブ
レイヤプロパティから「QField」タブ

「地物フォーム、アタッチメントとリレーション設定」という欄に、「バリューマップエディターのウィジェットがトグルボタンインターフェイスを使用するしきい値のアイテム」のオプションがデフォルトでは、「無効」と表示されています。

例えば、この値を「10アイテム」として設定すると、QFieldの画面上では、バリューマップの項目数が10未満の場合は選択ボタン形式として表示され、10以上の場合はドロップダウンメニューとして表示されます。

「バリューマップエディターのウィジェットがトグルボタンインターフェイスを使用するしきい値のアイテム」を設定
「バリューマップエディターのウィジェットがトグルボタンインターフェイスを使用するしきい値のアイテム」を設定

設定を保存し、再度プロジェクトをQFieldに転送しましょう。対象の属性が選択ボタン形式で表示されていることがわかります。

QFieldでテキスト型の属性が選択ボタンで表示された(地理院タイルを加工して作成)
QFieldでテキスト型の属性が選択ボタンで表示された(地理院タイルを加工して作成)

おわりに

本記事では、トグルスイッチ、ドロップダウンメニュー、選択ボタン形式による属性入力の設定方法を解説しました。これらの設定を活用すると、現場での入力作業が格段に容易になり、データ入力の効率化とミス防止に大きく貢献します。ぜひ皆さんのプロジェクトに取り入れてみてください。

この記事を書いた人
QGIS LAB編集部
QGIS LAB編集部

QGIS LABは、オープンソースのGISソフトウェア「QGIS」に関する総合情報メディアです。「位置から、価値へ。」をコンセプトに、位置情報で世界を拓くための知識と技術をお届けします。

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