
QGIS属性フォームの使い方〜ドロップダウンリスト・チェックボックス・添付ファイル〜
この記事でわかること
- QGISの属性フォームの基本的な使い方
- ドロップダウンリスト・チェックボックスを設定する方法
- 画像などのファイルを属性に添付する方法
こんな人におすすめ
- QGISでのデータ入力作業を効率化したい方
- 属性情報入力時のミスを減らしたい方
- 画像を属性情報として追加したい方
はじめに
QGISで属性値を入力する際は、テキストや数値を直接入力する形式が基本となっています。しかし、手動入力では入力ミスが発生しやすく、データの品質に影響を与える可能性があります。

この問題を解決するために、属性フォームを活用してドロップダウンリストやチェックボックス、数値の範囲を設定できます。また、画像などのファイルを添付する機能も利用できるので、データ入力の効率性と正確性が大幅に向上します。
この記事では、特定の種類の属性を設定するための属性フォームの使い方について詳しく解説します。
属性フォームを開く
属性フォームを確認するには、まずベクタレイヤのレイヤプロパティを開きます。

レイヤプロパティから[属性フォーム]タブをクリックすると、「属性フォーム」の画面が表示されます。

左側には属性の一覧が表示されています。「Fields」の一覧から特定の属性を選択すると、右側にその属性に対するさまざまな設定項目が表示されます。この例では、テキスト型の属性に「テキスト編集」というウィジェット型が設定されていることが確認できます。

ウィジェット型のメニューをクリックすると、ウィジェット型の一覧が表示されます。この一覧は属性型に応じて選択可能なものと選択不可能なものが区別されています。

ドロップダウンリスト属性の作成
ドロップダウンリストを使うと、入力する属性値の選択肢をあらかじめ用意しておけるため、ユーザーはクリック操作だけで簡単かつ正確に値を入力できます。

レイヤにテキスト型の列を追加
次の例では、世界の国々のレイヤに「大陸名」を入力するための新しい属性(continent)を作成して、ドロップダウンリストを設定する方法を説明します。
まず対象レイヤを編集モードに切り替えて、「テキスト」型の列を追加しましょう。

属性の追加方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
属性フォームでドロップダウンリストの設定
次に、レイヤプロパティから属性フォームを開きます。左側の「Fields」一覧から先ほど作成した属性(continent)を選択し、ウィジェット型から[バリューマップ]を選びましょう。
![ウィジェット型に[バリューマップ]を選択](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/8f0a619baef9468da17fa4f818d1ad6e/howto_edit_attribute-form_09.png?w=1080&fm=webp)
これにより、ウィジェット型メニューの下にバリューマップの設定が表示されます。表内に、ドロップダウンリストの値を記入します。

この設定では、[レイヤからデータをロード]ボタンをクリックしてレイヤの対象属性の既存の値を読み込んだり、[CSVファイルからデータをロード]ボタンでCSVファイルから値を読み込んだりすることもできます。
![[レイヤからデータをロード]ボタンや[CSVファイルからデータをロード]ボタンで値を読み込める](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/7d65daf27b9846f78cccbdd1c776e65e/howto_edit_attribute-form_11.png?w=1080&fm=webp)
設定が完了したら[OK]ボタンをクリックしましょう。
対象レイヤの属性テーブルを開いて、編集モードの状態で対象の属性をクリックすると、ドロップダウンリストから値を入力することができるようになっています。

また、「属性テーブル」画面の右下にある[フォーム表示を切り替え]ボタンをクリックするとフォーム形式で表示できます。フォーム表示でも、ドロップダウンリストから値を簡単に選択できます。

チェックボックス属性の作成
チェックボックス型の属性は、クリックでON/OFFの状態を切り替えられるため非常に効率的です。テキスト入力では「true」や「false」、あるいは「1」や「0」などを手動で入力する必要がありますが、チェックボックスを使えば簡単なクリック操作だけで入力が完了します。

レイヤにテキスト型の列を追加
以下の例では、世界の国々のレイヤに国際連合への加盟状況を入力するための属性(un_member)を追加して、チェックボックスを設定する方法を説明します。
まず、対象レイヤを編集モードに切り替えて、「ブール値」型の列を追加しましょう。

属性フォームでチェックボックスの設定
次に、先ほどと同様にレイヤプロパティから属性フォームを開き、以下の操作を行います。
- 左側の「Fields」一覧から、先ほど作成したブール型の属性(un_member)を選択
- ウィジェット型のドロップダウンメニューから[チェックボックス]を選択
- 設定が完了したら[OK]ボタンをクリック

属性テーブルを開いて設定を確認してみましょう。対象の属性にチェックボックスが表示され、クリック一つで簡単に状態を切り替えることができます。

数値範囲属性の作成
数値範囲型に属性を設定することで、最小値や最大値、ステップ数を設定できます。これにより、入力ミスを防ぐことができます。

レイヤに数値型の列を追加
この例では、世界の国々レイヤに「人間開発指数(HDI)」の属性を追加します。この属性値は0〜1の範囲内で、0.001単位で入力できるように設定します。
まず、対象レイヤを編集モードにして、「小数点付き数値」型の列を追加しましょう。

属性フォームで範囲の設定
レイヤプロパティから属性フォームを開き、以下の操作を行います。
- 左側の「Fields」一覧から、先ほど作成した小数点付き数値の属性(hdi)を選択
- ウィジェット型のドロップダウンメニューから[範囲(range)]を選択
- 最小値に「0」、最大値に「1」を入力
- ステップに「0.001」と入力
- 設定が完了したら[OK]ボタンをクリック

設定したレイヤの属性テーブルを開いてみましょう。上下の矢印を使ってステップごとに値を入力できるようになっています。また、最小値と最大値として設定した値を超えて入力できないようになっていることがわかります。

添付ファイル属性の作成
添付ファイル属性(アタッチメント)を作成すると、各地物に写真などのファイルを関連付けられます。QGISでは、テキスト型の属性にファイルパスを設定することで、外部ファイルとスムーズに連携できます。

ファイル添付用のテキスト型の列を追加
以下の例では、世界の国々のレイヤに国旗の画像ファイルを追加する属性(flag)を追加します。プロジェクトフォルダ内の「flags」ディレクトリに国旗の画像ファイルが格納されていると仮定します。

続いて、QGISで添付ファイル機能を持つ属性を作成します。まず、対象レイヤを編集モードに切り替えて、「テキスト」型の列を追加しましょう。

属性フォームで添付ファイルの設定
レイヤのプロパティから属性フォームを開き、以下の操作へ進みましょう。
- 左側の「Fields」一覧から[flag]属性を選択
- ウィジェット型のドロップダウンメニューから[アタッチメント]を選択
- パスを別名で保存:添付ファイルのパスの表示方法を設定します。[プロジェクトパスからの相対パス]、[絶対パス]または[デフォルトパスから相対パス]から選択できます。この例では[プロジェクトパスからの相対パス]を選択しています。
- 統合ドキュメントビューアの型:画像、録音、動画などのファイルコンテンツの型を設定し、属性テーブルで添付ファイルの内容を確認できるようにします。この例では[画像]を選択します。
- 設定が完了したら[OK]ボタンをクリック

属性テーブルを開いて確認しましょう。対象の属性には[…]ボタンが表示され、添付画像を設定できるようになっています。このボタンから画像ファイルを選択すると、プロジェクトからの相対パスがテキストとして表示され、同時に添付画像のプレビューも確認できます。

おわりに
この記事では、QGISにおけるドロップダウンリスト、チェックボックス、数値範囲、画像添付などの属性フォーム設定方法を解説しました。これらの機能を活用することで、直感的な入力が可能になり、データ編集の効率と精度を大幅に向上させることができます。
ぜひご自身のプロジェクトで試してみてください。


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