eyecatch

OpenStreetMapのデータをQGISに追加しよう〜QuickOSMのインストールと使い方〜

投稿日: 最終更新日:
この記事はQGIS 3.40を使用しています。

この記事でわかること


  • QuickOSMをQGISにインストールする方法
  • QuickOSMを使ってOpenStreetMapのデータをQGISに追加する方法

こんな人におすすめ


  • QuickOSMの使い方を知りたい方
  • OpenStreetMapのデータを手軽に追加してみたい方

はじめに

QuickOSMとは、OpenStreetMapのデータを追加するためのQGISプラグインです。QuickOSMを使えば、必要な地域の必要なデータだけを素早く取得できるため、大きなファイルをダウンロードして処理する手間が省けます。

この記事では、QuickOSMのインストール方法と、QGISにデータを追加する手順をご紹介します。

OpenStreetMapについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

QuickOSMとは

QuickOSMとは、OpenStreetMapの地図データをQGISへ追加することができるQGISプラグインです。

QGISへOpenStreetMapのデータを追加する方法として、QuickOSMの他にも、geofabrikと呼ばれるサイトからデータを取得する方法があります。しかし、geofabrikのデータは最少単位が地方であることから、サイズが大きく、QGISへ読み込むのに時間がかかります。そのため、対象とするデータや対象地域が小さい場合にはQuickOSMを利用するほうが手軽に追加することができます

QuickOSMのインストール

この章ではQuickOSMをQGISへインストールする方法を紹介します。

QuickOSMはプラグインマネージャからインストールすることができます。プラグインマネージャでquickosmと検索し、インストールしてください。

プラグインマネージャでquickosm と入力した状態
プラグインマネージャで「quickosm」と入力した状態

QGISプラグインのインストール方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

QuickOSMの基本機能

この章ではQuickOSMを起動し、データの追加に使える主な機能について紹介していきます。ここで紹介していない機能などは、公式ドキュメントをご覧ください。

QuickOSMをインストールすると、ツールバーにプラグインアイコン(緑色の虫眼鏡)が追加されます。このアイコンをクリックしてQuickOSMを起動します。

ツールバーから[QuickOSM]のアイコンをクリックする
ツールバーから[QuickOSM]のアイコンをクリックする

QuickOSMを開くと、ウィンドウが表示され、左側にタブメニューが並んでいます。

QuickOSMのウィンドウを開いた状態
QuickOSMのウィンドウを開いた状態

初心者向け: Quick Queryタブ

「Quick Query」タブでは、取得したい地物の条件を、属性と地理的な条件から簡単に指定できるようになっています。次の章ではこの機能を使って実際にQGISにデータを追加する方法を説明します。

「Quick Query」タブを開いたときのQuickOSMウィンドウ
「Quick Query」タブを開いたときのQuickOSMウィンドウ

上級者向け: Queryタブ

QuickOSMの「Query」タブは、追加したいデータを「OverpassQL」と呼ばれる言語を使って条件を細かく記述し、QGISへデータを追加することができます。

「Query」タブを開いたときのQuickOSMウィンドウ
「Query」タブを開いたときのQuickOSMウィンドウ
QuickOSMは内部的に、Overpass APIと呼ばれるサービスを利用してOpenStreetMapからデータを取得しています。 「Quick Query」タブも入力された属性などの条件をOverpassQLに変換し、Overpass APIへ渡して実行しています。

QuickOSMを使ってコンビニのデータを追加する

Quick Queryタブを使って追加する

この章では、QuickOSMを使い、札幌駅周辺1km圏内にあるコンビニエンスストアのデータをQGISに追加してみます。

QuickOSMの「Quick Query」タブを開き、以下の手順で設定を行います。

  1. 「Key」と「Value」はOpenStreetMapのタグを指定します。コンビニエンスストアのタグは「shop=convenience」なので、「Key」にshop、「Value」にconvenienceをそれぞれ入力します。
  2. 左のプルダウンメニューを選択し、検索範囲を指定します。今回は札幌駅周辺のコンビニエンスストアのデータがほしいので、[Around]を選択します。他の選択肢はそれぞれ以下のような意味になっています。
    • In:市区町村や特定のエリアなど、ある区域内にあるものを検索範囲とする
    • Around:指定する地物の半径何mの範囲の中を検索範囲とする
    • Canvas Extent:現在QGISに表示されている領域の中を検索範囲とする
    • Layer Extent:レイヤーを指定した上でレイヤーにある地物の範囲内を検索範囲とする
  3. テキスト入力欄に札幌駅と入力します。
  4. 1000mと入力します。
  5. 右下にある[Run Query]ボタンをクリックします。

処理が完了したらウィンドウを閉じます。

「Quick Query」タブの設定
「Quick Query」タブの設定

QuickOSMを閉じると、以下のようにコンビニエンスストアのデータが追加されていることが確認できます。

札幌駅から1000m圏内のコンビニエンスストアの分布(背景: 地理院タイル、コンビニエンスストアの地点データ: ©OpenStreetMap contributors)
札幌駅から1000m圏内のコンビニエンスストアの分布(背景: 地理院タイル、コンビニエンスストアの地点データ: ©OpenStreetMap contributors

属性テーブルを開くと、追加された地物のタグがQGISの属性として格納されています。そのため、OpenStreetMapのタグを簡単にQGISでの分析に使うことができます。

OpenStreetMapのデータの属性テーブルを開いた状態(データ: ©OpenStreetMap contributors)
OpenStreetMapのデータの属性テーブルを開いた状態(データ: ©OpenStreetMap contributors

Quick Queryのプリセット機能

Quick Queryには「Preset」という機能があります。Presetでは、OpenStreetMapのタグの知識がなくてもプルダウンメニューからタグを選択することができます。ただし、一部の地物は対応していないことがあります。

Presetで「コンビニエンスストア」を選択した状態
Presetで「コンビニエンスストア」を選択した状態

おわりに

この記事では、QuickOSMをインストールし、データをQGISに追加する方法を解説しました。コンビニエンスストアのデータの追加を例にしましたが、同じようにして道路、建物や公園など、様々なデータを追加することができます。QuickOSMの強みは、大量のデータをダウンロードして加工する手間を省くことができ、必要なデータだけを素早く取得できる点にあります。ぜひ、QuickOSMを活用して、自分だけの地図分析や可視化にチャレンジしてみてください。

なお、OpenStreetMapのデータを利用して、地図などを作成し、公開する場合には、著作権表示などが必要になります。詳細はOpenStreetMap公式ページ「著作権とライセンス」をご覧ください。

この記事を書いた人
QGIS LAB編集部
QGIS LAB編集部

QGIS LABは、オープンソースのGISソフトウェア「QGIS」に関する総合情報メディアです。「位置から、価値へ。」をコンセプトに、位置情報で世界を拓くための知識と技術をお届けします。

関連する記事