
GISデータのエクスポート手順〜GeoPackageやCSVに変換しよう〜
この記事でわかること
- QGISの「エクスポート」機能の基本的な使い方
- 利用中のデータをGeoPackageなどの他のファイル形式に変換する手順
こんな人におすすめ
- 一時スクラッチレイヤをベクタレイヤとして保存したい方
- シェープファイルをGeoPackageなどの最新のファイル形式に変換したい方
- 属性テーブルのデータをCSVでエクスポートしてExcelで活用したい方
はじめに
QGISでは、一時的に作成したレイヤを保存したり、異なるファイル形式に変換するといった機会が多くあります。そんなときに役立つのが、「エクスポート」機能です。この機能を使えば、作業途中のレイヤをファイルとして保存したり、形式を変換して出力したりすることができます。
この記事では、「名前を付けて保存」の基本的な使い方と、実際のユースケースを紹介します。
エクスポート機能とは
「エクスポート」機能は、QGISのレイヤをさまざまな形式で保存するための機能です。保存先やファイル形式を自由に指定できるため、次のようなケースで便利に使えます。
- 作業中に生成した一時スクラッチレイヤをファイルに保存
- 異なるファイル形式への変換(例:シェープファイルからGeoPackageへ)
- 編集したレイヤやフィルタリングしたレイヤの保存
- レイヤの属性をCSVで出力してExcelで分析したい
- レイヤを別の座標系に変換したい
エクスポートの操作手順
具体的な操作手順について説明します。ここでは、.shp
形式のシェープファイルをQGIS標準のファイル形式であるGeoPackage形式のレイヤに変換してみましょう。
なお、GeoPackageについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
まずは、レイヤパネルより、保存したい対象レイヤを右クリックして、[エクスポート]→[新規ファイルに地物を保存]をクリックします。
![[新規ファイルに地物を保存]をクリック](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/6df7ef4267124439a9c2326fddc7f062/howto_export_vector-layer_14.png?w=1080&fm=webp)
「名前をつけてベクタレイヤを保存」画面が表示されます。この画面では、出力するレイヤのファイル形式や、保存先のパス、ファイル名などさまざまな項目を設定することができます。
ここでは、シェープファイルをGeoPackage形式に変換するための設定方法をご紹介します。
- 形式:変換先のファイル形式を選択します。ここでは、[ESRI Shapefile]と表示されている場所をクリックして、リストから[GeoPackage]を選択します。
- ファイル名:ファイルの保存先を選択します。ここでは、[…]をクリックして、ファイル名と保存先を指定します。
- レイヤ名:形式で[GeoPackage]を選択した際に表示されます。適宜、レイヤ名を入力します。
これで基本的な設定は完了したので、右下の[OK]ボタンをクリックしましょう。

処理が完了すると、QGISのレイヤパネルのレイヤ一覧に保存したファイルがレイヤとして追加されます。なお、エクスポート画面で[保存されたファイルを地図に追加する]にチェックを入れている場合、QGISに自動的に追加されます。

また、マップキャンバスの上部にメッセージバーが表示され、「エクスポートされたレイヤ」として保存先のパスが表示されているので、パスをクリックしてみましょう。指定したパスにGeoPackageファイルが保存されていることがわかります。

ユースケース別エクスポートの手順
一時スクラッチレイヤを保存する
QGISでは、プロセシングツールで保存先を指定せずにレイヤを作成した場合など、「一時スクラッチレイヤ」としてメモリ上に保持されます。

これらはQGISを閉じると失われてしまうため、必要なデータは明示的に保存しておく必要があります。

一時スクラッチレイヤを残しておきたい場合は、上述と同様の手順でGeoPackageなどのファイル形式に保存しましょう。
座標系の変換
QGISは多くの座標系に対応していますが、座標系の変換も簡単にすることができます。座標系を変換したい場合は、エクスポート画面のCRSで変換先のCRSを設定しましょう。

QGISにおける座標系の取り扱いについては、こちらの記事をご覧ください。
属性テーブルをCSVデータで抽出
QGISでベクタデータを扱っていると、属性テーブルをExcelなどの表計算ソフトウェアで分析したり、グラフを作成したい場面があります。その場合は、エクスポートする際の形式で「カンマで区切られた値[CSV]」を選択してエクスポートしましょう。

エクスポートしたCSVファイルをExcelで開くと、元データの属性テーブルの内容が記録されていることが確認できます。

CSVデータをベクタレイヤの形式に変換
QGISでは、緯度経度の値をもつCSVなどの表形式のデータをマップに追加することができます。CSVのままでも表示や簡易な編集などは可能ですが、ベクタデータの形式に変換する方が効率的に実施することが可能です。
CSVデータをQGISに追加する方法と、シェープファイルなどのベクタデータの形式に変換する方法についてはこちらの記事で紹介しているので併せてご覧ください。
選択した地物のみレイヤを作成
ベクタレイヤのうち特定の地物のみでレイヤを作成することができます。
その場合は、まず新規レイヤとして作成したい地物を選択しましょう。

選択が完了したら、レイヤパネルで対象レイヤを右クリックし、[エクスポート]をクリックします。すると[新規ファイルに選択地物を保存]が選択可能になるので、これをクリックします。
![[新規ファイルに選択地物を保存]をクリック](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/9bd9ebbdcf94451c9853b3558fc38291/howto_export_vector-layer_10.png?w=1080&fm=webp)
あとは、[選択地物のみ保存]にチェックが入っていることを確認し、通常と同様の手順でエクスポートができるので、保存先などを指定してエクスポートしましょう。

処理が完了すると、選択した地物が新しいレイヤとして追加されます。

エクスポート時のオプションについて
エクスポートする際には、上記以外にもさまざまなオプションを設定できます。
主なオプションの説明は以下のとおりです。
- 文字コード:エクスポート時、指定した文字エンコーディングで保存します。
- 選択地物のみ保存:選択した地物だけエクスポートします。
- エクスポートするフィールドとエクスポートオプションを選択:属性テーブルの一部の列だけをエクスポートしたり、エクスポート後の列名を変更できます。
- レイヤメタデータを保持:ソースレイヤに存在する、レイヤの任意のメタデータがコピーとして保存されます。
- ジオメトリ:出力レイヤのジオメトリ機能を設定できます。
- 領域:領域範囲セレクタを使用して、エクスポートされるデータの範囲を一部だけに制限することができます。

おわりに
QGISの「エクスポート」機能は、レイヤの永続化やファイル形式の変換といった場面で非常に役立ちます。特に一時スクラッチレイヤの保存や形式変換の操作は、日々の作業の中でもよく出てくる場面です。QGIS初心者の方も、この機能を知っておくことで作業の効率が大きくアップします。ぜひ活用してみてください。