QGISでバッファを作る方法〜指定距離のポリゴンを作成する手順を解説〜
この記事でわかること
- バッファ・バッファ機能の概要
- バッファの作り方
- バッファの作成にあたっての注意点
こんな人におすすめ
- バッファ機能をはじめて使う方
- QGISでバッファを活用したい方
はじめに
家を探すにあたって「駅から徒歩10分圏内の物件を探したい」「物件から500m以内にコンビニはあるのか」といった疑問を持ったことはありませんか?GISでこれらの分析をおこなう際に便利なのが「バッファ」機能です。バッファを作成することで、駅から100m圏内の円などを作成できるようになります。
この記事では、QGISにおけるバッファ機能について、基本概念から実際の作成手順まで解説します。バッファは防災マップ作成や交通分析など、様々な分野で活用される重要なGIS機能です。そのバッファ処理の概要、実際のデータを使いバッファの作成方法を実例も交えながら説明します。
バッファとは
バッファとは、点や線、面などの地物から一定の距離をとった範囲を示すための図形を作る処理です。以下のように、点のデータと適当な距離を入力すると、点を入力すると円が、線や面のデータを入力すると線または面を覆う図形が出力されます。

バッファは、以下のような場面で使われています。
ハザードマップの作成
河川や火山の火口からバッファを作成することで、「河川の近く何mの地域は大雨や土砂災害が発生した場合には危険な区域である」や「火山が噴火する危険がある場合には火口を中心とした半径1kmを閉鎖する」などのメッセージを伝えることができるでしょう。

交通空白地域の分析
駅、バスの停留所などの点からのバッファを作成し、バッファの外にある地域を交通空白地域として可視化できます。また、国土交通省のWebページでは実際に交通空白地域の分析方法を公開しています。このなかでもバッファを使って分析をしています。

その他にも、商業施設の出店計画や商圏分析などでも広く活用されています。
QGISでバッファを作る
この章では実際にQGIS上でバッファを作る方法について解説します。
ここでは国土地理院が提供する埼玉県の指定緊急避難場所データを例に取って説明します。埼玉県の指定緊急避難場所データは国土地理院のサイトから取得します。
座標系を確認する
バッファを作成する際は、座標系に注意が必要です。バッファは「中心から半径何mの円を作成する」という処理を行います。しかし、座標系によってはメートルではなく緯度経度を単位として用いているものもあります。そのため、使用するデータの座標系によっては、想定よりも大きな円が生成されたり、円の形が歪んだりして、正しい結果が得られなくなってしまいます。

そこで、バッファ処理を行う直前に、数ある座標系のうち平面直角座標系などの直交座標系と呼ばれる座標系へデータを変換しておく必要があります。
平面直角座標系は地域によって座標系が異なります。今回は、埼玉県がJGD2011における「平面直角座標系(9系)」(EPSG:6677)に属しているので、平面直角座標系(9系)でデータの再投影を行っておく必要があります。
ベクタレイヤの再投影の手順については、以下の記事で詳しく解説しています。
バッファの作成
座標系の確認・再投影が終われば、バッファの作成に移ります。
ウインドウの上部にあるメニューから[ベクタ]→[空間演算ツール]→[バッファ]を選択します。
![ウインドウの上部にあるメニューから[ベクタ]→[空間演算ツール]→[バッファ]を選択する](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/add9d80e5df5431f892d7da557faf10a/howto_create_buffer_05.png?w=1080&fm=webp)
バッファのメニューを開いたら、以下を確認、編集します。
- 入力レイヤ: バッファを作成するもととなる地物が含まれているレイヤを選択します。このとき、平面直角座標系に再投影したレイヤであることを確認します。座標系を区別するためのEPSGコードも書いてあるので、あわせて確認すると間違いがないです。以下の画像には「EPSG:6677」と書いてあるために問題ないことがわかります。
- 距離: もととなる地物から、どれだけ離れた距離をバッファの範囲とするかを指定します。点からバッファを作る場合にはこの値が半径になります。メートルやキロメートルだけでなく、海里やインチ単位でも指定できます。ここでは例として100mとします。
- セグメント: バッファの形のなめらかさになります。セグメントの値が大きいほど、より正確な、なめらかな形になります。デフォルトでは5ですが、50~100程度がよいでしょう。
- 線の先端スタイル: 線などのバッファを作成する際に、先端部分に対してどのような形にするのかを指定できます。次の章「線の先端スタイル」で解説します。
- 結合スタイル: 線などのバッファを作成する際に、折れ曲がった部分などに対してどのような形にするかを指定できます。次の章「結合スタイル」で解説します。
- 結果を融合する: 有効にすると、すべてのバッファを1つの図形として繋げて出力されます。詳細パラメータ内にある[接していない地物は融合しない]にチェックを入れると、近接するバッファ同士が重なる位置にある場合にのみ、近接するバッファ1つ1つをそれぞれ別の図形として繋げるようになります。
- 出力レイヤ:[•••]ボタンをクリックして保存したい場所とファイル名を指定します。指定しない場合は、一次レイヤとして出力します。
- 上記の設定が完了したら、[実行]ボタンをクリック

実行すると、以下のようにバッファが作成されていることが確認できます。

バッファ作成に関するオプション
バッファの作成にあたり、幾つかのオプションがあります。ここでは、そのうち主なオプションの意味を実際の例を見ながら解説します。
線の先端スタイル
ここで登場する「線の先端スタイル」とは線のバッファを作成する場合の先端の形状を指定できます。
これは「線の先端スタイル」を[丸め]に設定してバッファを作成した場合は以下のようになります。線の先端からも距離をとっているのか、先端のバッファの形が丸くなっています。
![線の先端スタイルを[丸め]にしてバッファを作成した(バッファは灰色。青い線はもとの線)](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/d9214a8358464c6baf15726840487fda/howto_create_buffer_08.png?w=1080&fm=webp)
これは「線の先端スタイル」を[Flat]に設定してバッファを作成した場合の先端です。線の先端ちょうどでバッファが切れています。
![線の先端スタイルを[Flat]にしてバッファを作成した(バッファは紫色。青い線はもとの線)](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/02c24f27280940228474a8875e4075e2/howto_create_buffer_09.png?w=1080&fm=webp)
これは「線の先端スタイル」を[Square]に設定してバッファを作成した場合の先端です。線の先端より先に関してもバッファが作成されています。
![線の先端スタイルを[Square]にしてバッファを作成した(バッファはオレンジ色。青い線はもとの線)](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/d0fdc535ddfa422ea269b46dd21944aa/howto_create_buffer_10.png?w=1080&fm=webp)
結果を融合する
融合とはすべてのバッファを1つの図形として作成することを指します。デフォルトではバッファ同士が重なったとしても結合されることなく表示されます。

融合を有効にすると、以下のように近接しているバッファが1つの図形のように表示されています。

結合スタイル
「結合スタイル」は、折れ曲がった線に対してどのようなバッファの形を作るかを指定することができます。結合スタイルとして「丸め」、「Miter」、「Bevel」の3つから指定でき、「丸め」がデフォルトになっています。それぞれの実行例は以下の通りです。
[丸め]を指定すると、線の外側が丸まっており、内側は線にならって折れ曲がっています。

[Miter]を指定すると、線の内側と外側は線にならって折れ曲がっています。

[Bevel]を指定すると、線の内側は線にならって折れ曲がっていますが、外側は何回か折れ曲がっています。

いままで紹介してきたオプションの詳細と、その他のオプションはQGISの公式ドキュメントに解説があります。
おわりに
この記事では、バッファの概要、QGISでのバッファ作成の基本操作から各種オプションの使い方まで説明しました。バッファ機能を活用することで、地理空間データを使った様々な分析が可能になります。まずは簡単な設定から始めて、徐々に複雑な分析にチャレンジしてみてください。
データ出典


QGIS LABは、オープンソースのGISソフトウェア「QGIS」に関する総合情報メディアです。「位置から、価値へ。」をコンセプトに、位置情報で世界を拓くための知識と技術をお届けします。