ラインやポリゴンを変形、移動、回転。さまざまな編集ができる「高度なデジタイズツール」を紹介
この記事でわかること
- 高度なデジタイズツールバーの使い方
- ポリゴンやラインを回転、移動、拡大・縮小、分割する方法
- ポリゴンに穴を開ける方法
こんな人におすすめ
- ポリゴンやラインの形を変えたい方
- 地物の様々な編集方法を知りたい方
- 高度なGISデータ加工方法を学びたい方
はじめに
「高度なデジタイズツールバー」を使えば、ラインやポリゴンの形状を効率よく編集できます。回転、移動、拡大・縮小、分割などの操作を簡単に実行でき、GISデータの加工がさらに便利になります。
この記事では、高度なデジタイズツールバーでできる地物の編集方法を紹介していきます。
高度なデジタイズツールバーを有効にする
「高度なデジタイズツールバー」を使用するには、ツールバーを右クリックし、[高度なデジタイズツールバー]にチェックを入れます。
ツールバーに高度なデジタイズツールバーのアイコンが表示されます。高度なデジタイズツールバーはレイヤの編集モードになっているときに有効になります。使用する際は、編集するレイヤを編集モードに切り替えましょう。
形状を変形させる
ラインやポリゴンの形状を変更するには、「頂点ツール」で頂点を移動させることでも可能ですが、ここでは1点ずつ頂点を移動するのではなく、大きく形を変形させる方法を紹介します。
頂点ツールについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
「高度なデジタイズツールバー」のうち、「地物の変形」を使用します。
ラインの形状を変更する場合は、ラインをまたがるようにクリックしていき、最後に右クリックで終了すると、クリックした形状に変形することができます。
ポリゴンの場合は、ポリゴンの内側から開始して外側にクリックし、最後に再びポリゴンの内側に戻って終了すると、ポリゴンの領域を広げることができます。
逆にポリゴンの外側からスタートしてポリゴンの内側をクリックしていき、最後に再びポリゴンの外側に戻ってから右クリックで操作を終了すると、ポリゴンの一部を削除することができます。
地物を移動/コピーする
[地物の移動]では、指定した地物を移動させることができます。
移動したい地物をクリックし、移動させたい場所で再びクリックするだけで地物を移動させることが可能です。
アイコンの右隣にある[▼]をクリックし、[地物をコピー/移動]を選択して、同様の操作を行うと、指定した地物をコピーすることができます。
地物を回転する
[地物を回転]では、指定した地物を回転することができます。
- 回転したい地物をクリックします。
- マウスを動かすと、クリックした地物が回転します。
このとき、右上に表示されている「Rotation」で回転する角度を直接指定することもできます。
スナップで角度を指定すると、指定した角度間隔で回転を調整することができます。
- もう一度クリックすると、回転が確定されます。
地物を拡大・縮小する
[地物をスケーリング]を使用することで、地物を拡大したり縮小したりすることができます。
- 拡大・縮小したい地物をクリックします。
- マウスを動かすと、クリックした地物が拡大・縮小します。
地物の中心にマウスを近づけると縮小し、遠ざけると拡大します。
- もう一度クリックすると、大きさが確定されます。
ポリゴンに穴を空ける(ドーナツポリゴンの作成)
例えば公園を示すポリゴンがあったとして、池の部分だけ削除したい場合など、ポリゴンに空白の領域を作成したい場合は、[リングを追加]を使用します。
ツールバーから[リングを追加]をクリックします。
リングを作成したいポリゴンの領域内をクリックしてリングの形状を描いていきます。右クリックで終了すると、指定した領域が空洞になります。
ポリゴンの穴を埋める
ドーナツポリゴンの穴を削除する場合は[リングを削除]を使用します。
[リングを削除]ツールで削除したい空洞部分をクリックすると空洞を削除することができます。
ポリゴン内に別の地物を埋め込む
例えば、ある市町村(A市)の領域を示すポリゴンの中に飛地として別の市(B市)の領域が存在しているような場合、どのようにデータを作成すれば良いでしょうか。
A市のポリゴンに重ねてB市のポリゴンを作成してしまえば良さそうに思えますが、それだとそれぞれの領域が重なった状態(下図左)となり、現実的にあり得ない状態になってしまいます。この場合、A市のポリゴンの空洞に埋め込むようにB市のポリゴンを作成する必要があります(下図右)。
このようにあるポリゴンの内部に別の地物のポリゴンを埋め込む場合は[リングを充填]を使用します。
ラインやポリゴンを分割する
[地物を分割]や[パートを分割]では、1つのラインやポリゴンを切断して2つの地物に分割することができます。
「地物を分割」と「パートを分割」はどちらも地物を分割する機能ですが、それぞれの違いは以下の通りです。
- 地物を分割
- 分割後の地物は個別の地物(シングルパート)として扱われます。
- 属性テーブルも分割され、各地物が独立したレコードを持つようになります。
- パートを分割
- 分割後の地物は複数のパート(形状)に分割されますが、属性は1つのレコードに集約されたマルチパートデータとして扱われます。
そのため、分割後の属性テーブルを確認すると、「地物を分割」では属性テーブルのレコードが分割され、レコード数が増えています(下図左)が、「パートを分割」では属性テーブルは分割されず、元のレコード数のままになっています(下図右)。
複数の地物を1つにまとめる
境界を隔てて分割された複数の地物があったとします。これらの境界線を削除し、1つの地物に融合したい場合は[選択地物を結合]を実行します。
結合したい地物を全て選択して[選択地物を結合]をクリックすることで結合することができます。
この時、結合後の地物の属性値の指定ウインドウが表示されます。
結合後の属性値は、「選択した地物から属性を取得する」、「もっとも広い地物の属性を使用する」、「すべてのフィールドをスキップ」(属性値を空にする)などから指定することができます。
おわりに
「高度なデジタイズツールバー」を使用することで、地物の回転や移動、拡大・縮小、分割、そしてポリゴンの穴あけや埋め込みといった多彩なデータ作成機能を使用することができます。
ぜひこのツールを活用して、より高度なデータ作成に役立ててみてください。