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QGISでのマップ画面の操作と背景地図の表示方法

投稿日: 最終更新日:
この記事はQGIS 3.34を使用しています。

この記事でわかること


  • QGISのマップ画面の操作方法
  • マップ画面に背景地図を表示する方法

こんな人におすすめ


  • QGISのマップ画面の操作方法について知りたい方
  • QGISの画面上で地図が迷子になってしまう方
  • QGIS上で地名の検索をしてみたい方

はじめに

この記事では、QGISの基本的な操作であるマップキャンバス(マップ画面)の操作方法について紹介します。

背景地図の表示

「QGISの画面構成(ユーザーインターフェイス)を解説!カスタマイズ方法についても紹介」の記事では、QGISの画面構成についてご紹介しました。

上記の記事でも説明したとおり、新規プロジェクトを作成すると、初期状態ではレイヤが何も追加されていないため、マップキャンバスが真っ白の状態となっています。

画面中央のマップキャンバスが真っ白な状態となっている
画面中央のマップキャンバスが真っ白な状態となっている

マップキャンバスの操作に入る前に、まずは背景地図を表示してみましょう。QGISにデフォルトで追加されているOpenStreetMapを背景地図として追加してみます。ブラウザパネルより[XYZ Tiles]を開き、[OpenStreetMap]をダブルクリックします。

[XYZ Tiles]から[OpenStreetMap]をダブルクリック
[XYZ Tiles]から[OpenStreetMap]をダブルクリック

マップキャンバスにOpenStreetMapが表示されました。

OpenStreetMapが表示された(©︎OpenStreetMap contributors)
OpenStreetMapが表示された(©︎OpenStreetMap contributors)

なお、XYZTilesに国土地理院が公開している地理院地図など、新規の地図を追加したい場合はこちらの記事をご覧ください。

マップキャンバスの操作

では、ここからマップキャンバスの操作方法について説明します。マップキャンバスの操作をするための機能は、下記の図の赤枠で囲んでいるエリアにまとまっています。

マップキャンバスを操作するための機能
マップキャンバスを操作するための機能

それぞれの機能の概要については以下のとおりです。

機能

概要

地図を移動

地図上でドラッグをすることで表示範囲を変更する機能

選択部分にパン

選択した地物を中心に表示する機能

拡大・縮小

地図の表示範囲を拡大・縮小する機能

全域表示

プロジェクト内のすべてのレイヤをマップの範囲に表示する機能

選択部分にズーム

選択した地物や範囲を画面いっぱいに表示するためのズーム機能

ネイティブ解像度にズーム

ラスターデータをその元の解像度で表示するためのズーム機能

前の範囲に戻る/次の範囲に進む

過去に表示した地図の表示範囲に戻る、または進む機能

マップの拡大・縮小

QGISを初期表示した状態では、[地図を移動]のアイコンが押下された状態となっており、この状態でマウスホイールを前後に回転させることで、マップの拡大・縮小をすることができます。

マウスホイールを前後に回すことでマップの拡大・縮小(©︎OpenStreetMap contributors)
マウスホイールを前後に回すことでマップの拡大・縮小(©︎OpenStreetMap contributors)

また、ツールバーの虫眼鏡の[+]、[−]アイコンから範囲を指定して拡大・縮小することも可能です。アイコンをクリックし、マップ上でドラッグして拡大・縮小する範囲を指定することで、マップの拡大・縮小が可能です。

ツールバーの虫眼鏡の[+]、[−]アイコンから範囲を指定して拡大・縮小(©︎OpenStreetMap contributors)
ツールバーの虫眼鏡の[+]、[−]アイコンから範囲を指定して拡大・縮小(©︎OpenStreetMap contributors)

マップの移動

マップの移動は、[地図の移動]が押下された状態でドラッグをすることで、マップキャンバスの表示範囲を変更することが可能です。

[地図の移動]が押下された状態でドラッグをすることで地図を移動(©︎OpenStreetMap contributors)
[地図の移動]が押下された状態でドラッグをすることで地図を移動(©︎OpenStreetMap contributors)

マップ操作でよくあるトラブル

ドラッグで地図の移動ができない

[地図の移動]が押下された状態でないとドラッグで移動できないため、もしドラッグで移動できない場合は、ツールバー上で[地図の移動]が押下されている状態になっているか確認してみるとよいでしょう。

[地物選択]が押下されているためドラッグで地図の移動ができない
[地物選択]が押下されているためドラッグで地図の移動ができない

マップ上で迷子になってしまった場合

QGISを操作していると、操作を誤りマップキャンバスが真っ白になってしまったり、マップを拡大・縮小し過ぎてしまい、どこを表示しているか分からなくなってしまう場合があります。

マップ上でどこを表示しているかわからなくなってしまった(©︎OpenStreetMap contributors)
マップ上でどこを表示しているかわからなくなってしまった(©︎OpenStreetMap contributors)

その場合は、ツールバーの[レイヤの領域にズーム]や[全域表示]といったアイコンをクリックしたり、レイヤパネルからレイヤを右クリックして、[レイヤの領域にズーム]をクリックしましょう。

[レイヤの領域にズーム]などをクリックする(©︎OpenStreetMap contributors)
[レイヤの領域にズーム]などをクリックする(©︎OpenStreetMap contributors)

地名等で検索して対象地点に移動

QGISを初めて触る方には、Google Mapなどのように「地名などで検索してそこの位置を表示することはできないのか?」という質問をよく受けることがあります。あまり知られていませんが、簡易的ではあるもののQGISにも地名等で検索する機能が実装されています。

QGIS画面の左下に「検索」エリアがあり、ここで地名等で検索することが出来ます。例として、> 札幌市(>の後に半角スペースが必要)と入力してみると、「Nominatim Geocoder」の下部に検索に一致した地点が表示されます。

検索エリアに「> 検索ワード」を入力することで検索結果が表示される
検索エリアに「> 検索ワード」を入力することで検索結果が表示される

今回は、[札幌市,石狩振興局,北海道,日本]という結果が表示されているので、こちらをクリックします。

マップキャンバスで札幌市のエリアが表示されました。

検索結果をクリックすると対象の地点に遷移する(©︎OpenStreetMap contributors)
検索結果をクリックすると対象の地点に遷移する(©︎OpenStreetMap contributors)

また、地名以外にも主要な建物名などでも検索が可能です。ここでは、「東京タワー」と「博多駅」で検索をしてみました。

「東京タワー」での検索結果(©︎OpenStreetMap contributors)
「東京タワー」での検索結果(©︎OpenStreetMap contributors)
「博多駅」での検索結果(©︎OpenStreetMap contributors)
「博多駅」での検索結果(©︎OpenStreetMap contributors)

なお、この検索には、コミュニティで運営されているNominatimのサーバーが使用されています。NominatimはOpenStreetMapのデータを使用して地点検索をするため、OpenStreetMap に登録されていないデータは検索結果として表示されません。そのため、登録されている可能性が高いと考えられる、市区町村名や公共施設(駅名など)といったワードで検索をしてみるとよいでしょう。

おわりに

今回の記事では、QGISにおける基本的なマップ操作について説明しました。初めて使用する方にとってはやや複雑に感じられるかもしれませんが、基本的な操作を習得することで、効率的にQGISを扱えるようになるでしょう。

この記事を書いた人
QGIS LAB編集部
QGIS LAB編集部

QGIS LABは、オープンソースのGISソフトウェア「QGIS」に関する総合情報メディアです。「位置と情報で世界を変える」をコンセプトに、位置情報で世界を拓くための知識と技術をお届けします。

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