
QGIS 4.0が2025年10月登場!Qt6移行で何が変わる?
この記事でわかること
- QGIS 4.0の変更点とその背景
- 今後のリリーススケジュール
- プラグインの互換性や、移行前に知っておくべき注意点
こんな人におすすめ
- QGISを日常的に使っている方
- 新しいバージョンの情報を把握したい方
はじめに
定期的にバージョンアップがされているQGISですが、2025年10月に「QGIS 4.0」が登場することが発表されました。見た目や機能は従来通りですが、内部的にはQt6への移行という大きな変化があります。
これは、QGISをより使いやすく、より高性能なソフトウェアへと進化させる重要な変更です。この記事では、QGIS 4.0の概要とユーザーにとってのメリットを解説します。

QGIS 4.0の変更点とスケジュール
QGIS 4.0でQt6へ移行
QGISは「Qt(キュート)」というクロスプラットフォームアプリケーションフレームワーク上で構築されています。これはQGISを動かすための「エンジン」や「骨組み」のような役割を果たしています。

現在のQGIS(3.x系)は「Qt5」で動いていますが、これが「Qt6」へと移行します。Qt6はよりモダンで、将来的な技術革新にも対応しやすい構造になっており、長期的な安定性と保守性の面で大きな進歩となります。
Qt6は実績のあるプラットフォームであり、すでにQFieldやMergin Mapsなどのプロジェクトで活用されています。

今後のスケジュール予定
QGISプロジェクトは、Qt6への移行とQGIS 4.0のリリースに向けて、以下のスケジュールを公表しています。
- 2025年10月:QGIS 4.0リリース(通常のリリース、長期安定版(LTR)ではない)
- 2026年2月:QGIS 4.2が長期安定版(LTR)に指定
- 2026年5月:現在のLTR(QGIS 3.40)のサポート終了
まず移行期を支える通常版としてQGIS 4.0をリリースし、その後、長期運用に適したLTR(Long-Term Release)をQGIS 4.2として提供する計画です。QGISユーザーやプラグイン開発者は、このスケジュールを目安にアップグレードの準備を進めることをお勧めします。
QGISユーザーにとって嬉しいこと
1. 将来的なパフォーマンス向上
QGIS 4.0そのものでは、大きな新機能が加わるわけではありませんが、「Qt6に移行した」ということが今後の進化のベースになります。Qt6では、描画エンジンの改良や高速化、モダンなUI機能のサポートが行われており、これによりQGIS自体もよりスムーズに動作しやすくなることが期待されます。

2. 今まで通りの使い方ができる安心感
多くのユーザーが気にしているのは「既存のプラグインは使えるのか」という点です。QGIS 4.0は、既存のプラグインやスクリプトとの互換性を重視して設計されています。
完全な移行には時間がかかりますが、まずは「とりあえず動く状態」を担保するために、QGIS開発向けの非推奨APIを当面残す方針が採られました。これによりプラグイン開発者はQt6対応を段階的に進められ、ユーザー側も大きな混乱なくQGISを使い続けられる見込みです。
3. 複数バージョンの並行利用が可能
QGISは、複数バージョンを同時にインストールして使うことができます。そのため、「安定版(LTR)はそのまま使いたいけど、新しいQGIS 4.0も試してみたい」という方も安心です。これは、業務で利用しているユーザーにとって非常に大きな安心材料です。
バージョンアップに向けた対応
QGIS 3.40 LTRを現在使用している方は、特別な対応は必要ありません。2026年5月までサポートされるため、今後も安心して利用を続けることができます。
一方で、多数のプラグインを利用している方や、業務上特定のプラグインに強く依存している方は、QGIS 4.0のリリース直後の移行を急がず、まずは各プラグインの対応状況を確認してから移行することをお勧めします。
なお、QGIS公式プラグインリポジトリでは、各プラグインのページでQt6対応状況を一目で確認できるようになる予定です。
おわりに
QGISは安定した操作性を維持しながら、着実に次の段階へと進化を遂げています。QGIS 4.0にぜひご注目ください。QGIS LABでは、今後もQGIS 4.0に関する記事を継続的に公開していく予定です。最新情報にご興味のある方は、引き続き更新をチェックしてください。
また、QGIS LABでは、新バージョンリリースで追加された機能についても紹介しています。併せてご覧ください。