QGIS 3.30新機能 〜ラスタレイヤの操作が大幅アップデート〜
この記事でわかること
- QGIS 3.30の新機能
こんな人におすすめ
- QGISの最新機能に興味のある方
はじめに
2023年3月4日にQGIS 3.30がリリースされました。
相変わらずとんでもない量の更新があったわけですが、その中から特に気になるラスタ系のアップデートについて3つ紹介していきたいと思います。
ちなみに、「's-Hertogenbosch」は、オランダの南部の都市「スヘルトーヘンボス」に由来します。
ラスタレイヤがMapTipsに対応
MapTipsという機能がありますが、今まではベクタレイヤにしか利用できませんでした。
(地物に対してマウスをホバーしたときに出てくる小さい表示です。)
「地図のTipsを表示」をオンにした状態であれば出てきます。
表示させたい情報はレイヤプロパティから変更可能です。
今回のバージョンアップで、このMapTipsがラスタレイヤに対応されました!
ラスタレイヤのレイヤプロパティを開き「Display」を開きましょう。
「HTML Map Tips」に所定のテキストを入力することで表示を制御できます。まずは、以下のテキストを入力してみましょう。
[% raster_value( 'L03_b_14_5339_7f3bbcba_72d7_4acc_a63f_695b2ddf67e6', 1, @layer_cursor_point ) %]
すると指定した内容のTipsが表示されました!
「HTML Map Tips」にはHTMLテンプレートとQGISの式を入力することが可能です。
レイヤ名を調べたい、出力する値を加工したい!など色々やりたい場合は「ε」をクリックし式ダイアログを開くことで、式入力のフォームには以下を記載し、「OK」→「Insert」→「適用」の順でクリックしましょう。
マウスホバーで属性情報を確認できる
Feature: Identify on mouse move, no mouse click
次は地物情報についてです!
地物はクリックすると「地物情報結果」のパネルに属性情報が表示されます。
今回のバージョンアップでは「地物情報結果」の設置の一つに「Identify Feature(s) on mouse over」が追加されました!
これを設定すると、このように地物をホバーするだけで属性が見れます!
もちろん、ラスタレイヤでもできます!
ラスターレイヤに属性テーブルがサポート
Feature: Raster Attribute Tables (RAT) Suppport
レイヤパネルからラスタレイヤを右クリックすると「Open Raster Atrriburte Table」というメニューが出てくると思うので、クリックしましょう。
するとバンドごと・ピクセルごとにRGBAの値などを指定することができます。
ちなみに、レイヤプロパティからも確認することができます。
今回利用しているのは国土数値情報の「土地利用細分メッシュ」ですが、配色の意味はこうなっています。
QGISでRATを直接修正できるため、「Class」などに項目名を設定することもできますし、カラムを増やすことも可能です。
RATはシンボルから作成することもできますし、別のファイルを読み込むことができます。
RATは〇〇.aux.xml
という名称で保存され、ラスタレイヤとprefixが一致していれば自動で読み込まれます。
おわりに
ここで紹介した機能以外にもさまざまな機能がVer.3.30で追加されていますので、気になった方はぜひチェンジログをチェックしてみてください!