
QGISにPLATEAUの3D都市モデルを追加しよう〜PLATEAU QGIS Plugin〜
この記事でわかること
- Project PLATEAUおよびPLATEAUデータの概要
- QGISにPLATEAUデータを追加する方法
こんな人におすすめ
- QGISでPLATEAUデータを扱いたい方
はじめに
Project PLATEAU(プラトー)とは、国土交通省が主導する3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクトです。プロジェクトでは、データの整備のほか、様々な主体の参画による「まちづくり・社会づくりのDX」に向けたユースケースの創出・社会実装の取り組みが進められています。
この記事では、PLATEAUデータの特徴と、PLATEAU QGIS Pluginを使用してPLATEAUデータをQGISに追加する方法をご紹介します。
PLATEAUデータの特徴
PLATEAU 3D都市モデルデータは、CityGML形式で整備されています。この形式は、3D都市モデルを扱うための標準的なフォーマットとして、地理空間情報の国際標準化団体であるOGC(Open Geospatial Consotium)により標準化されています。PLATEAUのCityGML固有の仕様については「3D都市モデル標準製品仕様書」で定義されています。
また、PLATEAUデータの特徴として、地物の詳細度を示す概念であるLOD(Level of Detail)が挙げられます。 表のように、LODごとに整備される地物が異なります。

建築物モデルについては、LOD0からLOD4までが定義されています。LOD0は建築物の形状を2Dの面で表現したもの、LOD1は建物の単純な箱型形状、LOD2は屋根形状を含む詳細な建物形状、LOD3は窓やドアなど建築物の細部を含む形状、LOD4は内装や設備など建物内部の形状を含む最高精度のモデルです。

整備対象の地物は、都市や地域の地理空間情報整備において対象となる建物、道路、公園などの物理的構造物や地形データなど、全部で20種類あります。

データの入手
PLATEAU 3D都市モデルのデータは、「G空間情報センター」においてオープンデータとして公開されています。2025年1月現在、全国200以上の都市の3D都市モデルが公開されています。データを入手したい自治体の西暦をクリックすると、ダウンロードするデータを選択することができます。
G空間情報センターで公開されている3D都市モデルについては(「PLATEAU Webサイト」で公開されている情報も含む)は、利用ルールの範囲内においては複製、公衆送信、翻訳・変形等の翻案等、自由に利用することができ、商用利用も可能となっています。

この記事では、2022年度の神奈川県川崎市CityGML(v3)をダウンロードして使用します。
PLATEAUのCityGMLをQGISに追加する
PLATEAU 3D都市モデルはCityGML形式で公開されています。しかし、QGISの標準機能ではCityGMLファイルを直接追加すると、読み込みに時間がかかったり、属性情報を適切に読み込むことができなかったりと不具合が生じる場合があります。
そこで、「PLATEAU QGIS Plugin」を使用して、PLATEAU 3D都市モデルのCityGMLファイルをQGISに読み込みます。
PLATEAU QGIS Plugin のインストール手順
「PLATEAU QGIS Plugin」は、QGIS公式のプラグインリポジトリに登録されたプラグインです。そのため、QGISの画面上でプラグインをインストールすることが可能です。

では、ここから「PLATEAU QGIS Plugin」のインストール手順について説明します。
メニューバーより、[プラグイン]→[プラグインの管理とインストール]からダイアログを開きます。[全プラグイン]タブを開き、検索バーで「plateau」と検索します。すると、「PLATEAU QGIS Plugin」がヒットするので、選択して[インストール]をクリックします。これでインストールは完了です。

インストールが完了したら、「インストール済」タブで「PLATEAU QGIS Plugin」にチェックが入っているかどうかを確認します。チェックが入っていない場合は、チェックを入れましょう。
問題がなければ、「プラグインの管理とインストール」ウィンドウを閉じます。

CityGMLの追加
まず、追加したPLATEAU QGIS Pluginを起動します。「ツールバー」からPLATEAUのアイコンをクリックするか、プロセシングツールボックスを開き、[Project PLATEAU]→[PLATEAU 3D都市モデルを読み込む]の順に進み、プラグインを起動します。

プラグインの画面が表示されました。

プラグインの設定やオプションは、下記のとおりになっています。
PLATEAU CityGML ファイル
- 読み込み対象のCityGMLファイルを指定する
読み込むLOD
- 同一のオブジェクトに複数のLODが用意されている場合は、デフォルトでは「最も単純なLOD」のみを読み込む
- 「最も単純なLODのみを読み込む」「最も詳細なLODのみを読み込む」「全てのLODを読み込む」から選択する
オプション
地物を構成する部分ごとにレイヤを分ける:
- このオプションを有効にすると、一部のモデルのLOD2以上において、壁や屋根、車道や歩道などの意味的な部分に分けて地物を読み込む
- 生成される地物の数が大幅に増える可能性があるため、オプションの有効化には注意が必要
3次元データを強制的に2次元化する:
- このオプションを有効にすると、3次元情報を捨てて平面データとして地物を読み込む
- QGISで解析をする際などはこのオプションを使用すると便利
既存の同盟レイヤに追記する:
- このオプションを有効にすると、既存のレイヤに追記してインポートされる
変換先のCRS
- 変換先のCRS(座標参照系)を指定する
それでは、実際にPLATEAU CityGMLを読み込んでみましょう。
- PLATEAU CityGML ファイル:[•••]から、読み込みたいCityGMLファイルを1つ選択する(今回は、建築物モデルを追加するので、ダウンロードしたCityGMLのフォルダから「14130_kawasaki-shi_city_2022_citygml_3_op 3」→「udx」→「bldg」の順に進み、任意のCityGMLファイルを選択)
- 読み込むLOD:任意のLODを選択する
- 必要に応じて各種オプションにチェックを入れる
- 変換先CRS:必要に応じてCRSを設定する
- 設定が完了したら[実行]を押下して、CityGMLファイルが読み込まれるのを待つ
- マップキャンバスに建物の外形が表示されたら、プラグインウィンドウを閉じる
![CityGMLファイルを選択し、オプションを設定して[実行]をクリックする](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/6e7ed6b122564c228c4b816ee2625acd/usecase_plateau-qgis-plugin_08.png?w=1080&fm=webp)
複数ファイルをバッチプロセスにより追加
上記の方法では、CityGMLファイルを1つしか選択することができませんが、複数ファイルを一度に読み込むことができる「バッチ処理」機能をご紹介します。
プラグインを起動し、「バッチプロセスで実行…」をクリックします。

[オートフィル]→[ファイルを選択…]の順に進み、QGISに追加したいCityGMLファイルを選択します。例として、神奈川県川崎市のファイルを選択しました。

ファイルを選択できたら、適宜オプションを設定します。今回は、QGISで解析することを目的にデータを追加するので、「3次元データを強制的に2次元化する」を有効にします。
バッチプロセスでデータを追加する場合、同じ設定をファイル1つ1つに対して行うのは少々面倒です。ここでも、オートフィルを使用して、同じ設定をすべてのファイルに適用します。
- [オートフィル]の真下のプルダウンから[いいえ]→[Yes]に設定する
- [オートフィル]→[フィルダウン]をクリックすると、すべてのファイルに「Yes」の設定が適用される

- すべてのファイルに「Yes」の設定が適用されていることを確認する
- [実行]を押下して、ファイルをQGISに読み込む

追加したデータの確認
処理が完了したらプラグインウィンドウを閉じ、建物が読み込まれているか確認しましょう。ブラウザパネルの[XYZ Tiles]からOpenStreetMapなどのベースマップを追加するとわかりやすいでしょう。

属性テーブルを確認してみると、name(建物の名称)などの一般的な属性情報のほか、usage(建物用途)やmeasured Height(建物の高さ)など、PLATEAU特有の属性情報があることがわかります。これらの情報を活用して、目的に合わせた空間分析や情報の可視化をすることが可能です。
このほか、建物IDやLOD、メタデータなどPLATEAU特有の属性情報は多数あります。詳細は、追加したデータの属性テーブルを確認してください。

レイヤパネルを確認すると、読み込まれた建築物モデルは「Building」として追加されていることがわかります。また、「Building / RiverFloodingRisk 1 L2(想定最大規模)」や「Building / RiverFloodingRisk 1 L1(計画規模)」など、災害リスク情報を付与したデータも自動的に追加されます。
これらのレイヤは地域ごとに異なる情報を含むため、追加される内容は地域によって変わります。一方、災害リスク情報を持たないデータを追加した場合は、これらのレイヤは表示されません。

まとめ
この記事では、Project PLATEAUの概要、PLATEAUデータの入手からQGISへの読み込み方法まで解説しました。
ぜひ、QGISにPLATEAU QGIS Pluginを追加して、PLATEAUデータを活用してみてください。