
QGISでポイントのスタイルを変更する方法〜マーカーの色変更からSVG画像の活用まで〜
この記事でわかること
- ポイントの見た目、色を変更する方法
- ポイントとして画像を使う方法
こんな人におすすめ
- マーカーの見た目を変更したい人
- QGISを使ってわかりやすい地図を作りたい人
はじめに
QGISでポイントを含むレイヤを読み込むと、デフォルトでランダムな色の丸いマーカーが表示されます。しかし、避難所なら緑色や避難所のアイコン、病院なら赤色の十字など、データの内容に応じて適切なマーカーに変更することで、地図がより見やすく、理解しやすくなります。
この記事では、QGISで点の見た目(マーカー)を変更する方法について解説します。基本的な色の変更から、詳細な設定、さらには画像ファイルをマーカーとして利用する方法までを説明します。
また、ポリゴンのデータの見た目を変更したい場合には、こちらの記事も参考にしてください。
ポイントのスタイルを変更する
レイヤをQGISに追加すると、ポイントは「単一定義(single)」という様式で描画されます。これは「1つのポイントレイヤに属する地物に対してはすべて同じ見た目のマーカーにする」ものです。
ただし、デフォルトで与えられる色はランダムに選ばれるため、他のレイヤと組み合わせると、見にくくなってしまう場合や、イメージとは異なるものになってしまう場合があります。例えば、避難所のデータに対して、緑色の丸や避難所マークに変更したいと思うかもしれません。または、消防署のデータには赤色を使ったほうが直感的でしょう。
そこで、この章ではポイントの見た目を変更する方法についてご紹介します。
デフォルトのスタイルを使う
色をはじめとするマーカーの見た目を変更する場合は、レイヤプロパティのシンボロジメニューを開く必要があります。具体的には以下の方法でメニューを開くことができます。
色を変更したいレイヤを右クリックして、[プロパティ]を選択します。

レイヤプロパティが開いたら、ウィンドウ左側のメニューから[シンボロジ]をクリックしましょう。開いた状態のシンボロジメニューが以下の画像です。この画面では、QGISがあらかじめ用意しているマーカーを選択して利用することができます。

画面の左上にある、十字の上に丸が描かれている部分は、マーカーのプレビューになっています。十字の交差部分が地物の座標になっています。確認しながら、パラメータを調節することができます。
ここでは試しに[dot green]を選択して、ウィンドウ右下[OK]をクリックしてみましょう。
![[dot green]スタイルを選択した状態](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/086e01476269431b91e20dadf96183c8/howto_style-point_04.png?w=1080&fm=webp)
すると、点が緑色のマーカーに変化したことがわかります。

マーカーの見た目を指定する
レイヤプロパティのシンボロジメニューでは、マーカーの色、不透明度、大きさなども指定できます。
- 色:マーカー塗り潰しの色
- 不透明度:マーカーの透明度
- 大きさ:マーカーの大きさ

マーカーの見た目を詳細に指定する
先ほど紹介した方法よりも詳細にマーカーを変更したい場合、ウィンドウ上部[シンプルマーカー]をクリックします。
![シンボロジの[シンプルマーカー]をクリック](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/98ed18a692aa49ecbb307f3ab3cbbf16/howto_style-point_07.png?w=1080&fm=webp)
ここでは、マーカーの大きさ、塗りつぶし色から、ストロークや形まで、マーカーの細かい部分まで指定することができます。
主な設定項目は以下の通りです。
- ストローク: マーカーにつける縁(ふち)を調節できます。ここでは「ストローク色」で色、「ストロークスタイル」で線の種類(実線、破線など)、「ストローク幅」で幅がそれぞれ選択できます。
- 回転: マーカーを回転させたい場合に利用します。
- オフセット: 地物の座標からマーカーをどれくらい離すかを指定することができるオプションです。
- アンカーポイント: マーカーと地物の座標の位置関係を指定できるオプションです。丸のマーカーだとわかりにくいですが、例えば地物の座標とマーカーの左下や右上などマーカーの端とを合わせたい場合に利用できます。
- 形: マーカーの形を選択できます。円、四角形、三角形、星、十字など、さまざまな形が並んでいますが、ここから図形をクリックして選択することで、マーカーの形を変更することができます。

オフセットとアンカーについては、どちらもマーカーと地物の座標との関係を指定するもので共通しているため、違いがわかりにくいかもしれません。
オフセットは地物の位置からマーカーの中心位置を具体的な距離でどの方向にずらすかを指定するオプションです。

一方、アンカーポイントはマーカーのどの部分を地物の座標に揃えるかを指定するものです。これらを組み合わせることで、マーカーの位置を細かく調整できます。

また、マーカーのストロークの色と幅を変更したものが以下になります。画面上部にあるマーカーのプレビュー画面がそれぞれ変わっていることが確認できます。

これらを調節したら、ウィンドウ右下の[OK]をクリックすることで、レイヤに反映させることができます。

マーカーを画像に変更する
デフォルトでは「シンプルマーカー」になっていますが、その他にも、文字からGIFアニメーションまで様々なものをマーカーとして利用することができます。
ここではその中から画像をマーカーとして使う2つの方法についてご紹介します。
ラスタ画像マーカーを使う
画像をマーカーにしたい場合、基本的には「ラスタ画像マーカー」を利用します。ラスタ画像とありますが、SVGなどのベクタ画像やPDFを指定することもできます。[シンボルレイヤ型]として[ラスタ画像マーカー]を選択してください。
![マーカーをラスタ画像にしたい場合、[ラスタ画像マーカー]を選択する](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/1c0e6b5144cd4ddb8307006e460411b5/howto_style-point_13.png?w=1080&fm=webp)
ここでは、Digital北海道研究会が公開している素材のうち、PNG形式の緊急避難場所マークの画像をマーカーとして利用してみます。
- 右にある[…]をクリックして、ダウンロードしてきた画像を選択します。
- 見た目や配置などに指定があれば、適宜変更しましょう。
- 画面右下の[OK]をクリックします。

先程までの丸いマーカーの代わりに、指定した画像が使われていることがわかります。

SVGマーカーを使う
使いたい画像がSVG形式である場合、「SVGマーカー」を利用することもできます。こちらは「ラスタ画像マーカー」よりも細かく見た目を変更できます。[シンボルレイヤ型]で[SVGマーカー]を選択してください。
![[SVGマーカー]を選択](https://images.microcms-assets.io/assets/6c4873527fd24450a0163b40e8e173f2/ce525a0c5d90453ab4e0876ed87dc0b0/howto_style-point_16.png?w=1080&fm=webp)
「SVGマーカー」を選択すると以下のような画面になります。

SVGの画像は2つの方法から選択することができます。1つ目は、QGISが用意しているマーカーを利用する方法です。2つ目は、自分で用意してきたSVGを使う方法です。
QGISが用意しているマーカーを利用する
SVGマーカーの基本的な設定方法は以下の通りです。
- [SVGブラウザ]からマーカーにしたいイメージを選択します。
- 大きさ、ストロークやオフセットなどの見た目に関する設定を必要に応じて調整しましょう。
- [OK]をクリックします。

さきほど、指定したSVGイメージに変更されました。

自分で用意してきたSVGを使う
SVGマーカーの設定方法は上記と同様ですが、自身で用意したSVGをマーカーにしたい場合は、下部にある[…]からSVGファイルを選択します。

Digital北海道研究会が公開している素材のうち、緊急避難場所のSVGデータをマーカーとして利用した例が以下になります。

まとめ
この記事では、QGISにおける点レイヤのマーカー色の変更から、ストローク、オフセットやアンカーポイントなどの細かい調整、画像をマーカーとして利用する方法まで紹介しました。
マーカーの見た目を適切に設定することで、地図の可読性が大幅に向上し、データの意味をより直感的に伝えることができます。また、用途に応じて、シンプルな色の変更から画像マーカーまでを使い分けることで、効果的な地図作成が可能になります。ぜひ、お持ちのデータに合わせてマーカーの見た目をカスタマイズし、より魅力的で分かりやすい地図作成にチャレンジしてみてください。


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