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QGISでデータを切り抜く〜クリップによるベクタデータの抽出手順〜

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この記事はQGIS 3.40を使用しています。

この記事でわかること


  • ベクタデータのクリップ処理の基本概念と用途
  • QGISでクリップ処理を実行する具体的な手順
  • クリップとインターセクトの使い分けと応用方法

こんな人におすすめ


  • 特定の地域や範囲のデータだけを抽出したい方
  • 不要な範囲を削ってデータ容量を減らしたい方
  • 分析前の前処理として、対象範囲を絞り込みたい方

はじめに

GISでデータ分析を行う際は、広域データから必要な範囲だけを取り出す場面がよくあります。たとえば、全国の店舗データから東京都内の店舗だけを分析したい場合や、全国の道路データから特定の市町村内の道路だけを対象にしたい場合です。

こうしたときに役立つのが、ベクタ空間演算の 「クリップ(切り抜く)」 です。クリップはQGISで頻繁に使う基本機能のひとつで、前処理分析範囲の絞り込みに欠かせません。

本記事では、クリップの考え方から操作手順、似た処理であるインターセクトとの違いまでをまとめて解説します。

クリップとは

クリップ(Clip) とは、ベクタデータを特定の境界で 「切り抜く」空間演算です。

クッキー生地を型抜きするイメージで、入力データ(ポイント・ライン・ポリゴン)境界(ポリゴン) の形に合わせて切り出します。

クリップ処理のイメージ
クリップ処理のイメージ

クリップに必要なレイヤ

クリップ処理には、次の2つのレイヤが必要です。

  • 入力レイヤ(Input Layer) 切り抜きたい対象データです。ポイント、ライン、ポリゴンのいずれでも入力にできます。
  • クリップレイヤ(Clip Layer) 切り抜く範囲を表すポリゴンデータです。この境界の内側にある入力レイヤの地物だけが結果に残ります。

ここでは例として、国土数値情報ダウンロードサイトより入手した「日本全国の鉄道線(ラインデータ)」と「東京都の行政区域(ポリゴンデータ)」を使い、鉄道線を東京都の範囲でクリップしていきます。

クリップで使用する鉄道線と行政区域データ
クリップで使用する鉄道線と行政区域データ

全国分の鉄道線データであるため、読み込んだ直後は日本全域が対象になっていることがわかります。

全国分の鉄道線のデータであることがわかる
全国分の鉄道線のデータであることがわかる

クリップの実行手順

メニューから [ベクタ]→[空間演算ツール]→[切り抜く(clip)] を選択します。

ウインドウの上部にあるメニューから[ベクタ]→[空間演算ツール]→[切り抜く(clip)]を選択する
ウインドウの上部にあるメニューから[ベクタ]→[空間演算ツール]→[切り抜く(clip)]を選択する

または、右側の プロセシングツールボックス「clip」「切り抜く」「クリップ」 などと検索して起動することもできます。

[プロセシングツールボックス]→[ベクターオーバレイ]→[切り抜く(clip)]からも起動可能
[プロセシングツールボックス]→[ベクターオーバレイ]→[切り抜く(clip)]からも起動可能

クリップでは、次の項目を設定します。

クリップ処理の設定画面
クリップ処理の設定画面
  1. 入力レイヤ 切り抜きたいベクタレイヤを選択します。
  2. オーバーレイレイヤ(クリップレイヤ) 境界となるポリゴンレイヤを選択します。
  3. 切り抜き結果 結果の出力先を指定します。一時レイヤとして扱う場合は「一時レイヤを作成」、ファイルとして保存する場合は[...]から保存先とファイル名を指定します。

クリップの結果確認

実行すると、入力レイヤがオーバーレイレイヤの範囲で切り抜かれます。

クリップ結果
クリップ結果

鉄道線(ライン)が東京都の領域範囲で切り抜かれていることがわかります。

クリップ処理後の鉄道データの属性テーブル。東京都内の地物のみに切り抜かれている
クリップ処理後の鉄道データの属性テーブル。東京都内の地物のみに切り抜かれている

属性テーブルを見ると、元データで保持していた属性がそのまま引き継がれていることが確認できます。

クリップとインターセクトの使い分け

クリップは範囲を切り抜くのに便利ですが、クリップ結果にはオーバーレイレイヤの属性情報が引き継がれない点に注意が必要です。そのため、たとえば「どの区(豊島区、練馬区など)に属する鉄道線なのか」を区別したい場合は、クリップだけでは判断できません。

このように、切り抜きと同時にオーバーレイレイヤ側の属性情報も引き継ぎたい場合は、クリップではなくインターセクト(交差)処理を使うと良いでしょう。インターセクトは、クリップと同様にポリゴンの領域にデータを切り抜きますが、さらにポリゴンの地物の属性も継承されるため、どの市町村に属する鉄道線なのかも判別できます。

インターセクト処理結果
インターセクト処理結果

おわりに

この記事ではデータを任意のポリゴンデータの領域に切り抜くことができる「クリップ(切り抜く)」について紹介しました。

クリップ(切り抜く)はQGISにおける基本的かつ重要なベクタ空間演算です。必要のない領域のデータを削除してデータを軽量化する際に使用してみてください。

データ出典

この記事を書いた人
QGIS LAB編集部
QGIS LAB編集部

QGIS LABは、オープンソースのGISソフトウェア「QGIS」に関する総合情報メディアです。「位置から、価値へ。」をコンセプトに、位置情報で世界を拓くための知識と技術をお届けします。

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