レイヤパネルでのレイヤの管理の基本 〜レイヤ名の変更、表示順序、削除、グループ化〜
この記事でわかること
- レイヤパネルの基本的な操作方法
こんな人におすすめ
- QGIS初心者でレイヤパネルの使い方を学びたい方
- QGISで地図の表示順をコントロールしたい方
- QGISで追加したレイヤを削除したい方
- レイヤの管理を効率化したい方
はじめに
QGISのレイヤパネルは、レイヤの管理に関するさまざまな機能があります。この記事では、レイヤパネルの基本的な操作方法を紹介します。
レイヤパネルの基本
レイヤパネルは通常、QGIS画面の左側下部に表示されています。
もし、レイヤパネルが表示されていない場合は、メニューバーから[ビュー]→[パネル]をクリックし[レイヤパネル]にチェックを入れましょう。
レイヤのプロパティの表示
レイヤのプロパティとは、各レイヤの詳細な情報や設定を確認・変更することができるダイアログです。レイヤのプロパティでは、レイヤの情報の確認、スタイルやラベルの設定など、さまざまな操作が可能です。
レイヤのプロパティを表示するには、レイヤパネルからプロパティを表示したいレイヤを選択し、レイヤを右クリックして[プロパティ]を選択します。なお、レイヤをダブルクリックすることでも同じように表示が可能です。
レイヤプロパティのダイアログが表示されました。レイヤプロパティの左側には、「情報」から始まり「デジタイズ」まで複数のタブが配置されています。
「情報」タブでは、ファイルパスや座標系などレイヤに関する様々な情報を確認することができます。
「ソース」タブでは、レイヤの文字コードや座標系の設定変更、空間インデックスの作成を行うことが可能です。
「シンボロジ」タブでは、地図上のレイヤの見た目を変更できます。レイヤの色、形、サイズをカスタマイズすることで、地図を見やすくしたり、レイヤを視覚的に強調できます。
この記事ではそれぞれのタブについて詳細には紹介しませんが、各タブの機能を深く理解することで、より効果的な地図作成やデータ管理が可能になるでしょう。
レイヤの表示・非表示
QGISのレイヤパネルでは、現在追加されている全てのレイヤを確認することができます。
レイヤパネル内の各レイヤの左側にはチェックボックスが配置されており、このチェックボックスにチェックを入れるとレイヤが表示され、チェックを外すと非表示になります。下記の図では、「airp_jpn」という空港の位置を示すポイントレイヤのみにチェックを入れているため、マップキャンバスでも空港のポイントレイヤのみが表示されています。
複数レイヤの一括で表示・非表示
複数レイヤを一括で表示・非表示に変更することも可能です。
[Shift]キーを押しながら複数のレイヤを選択し、レイヤパネルの上部の目のアイコンをクリックします。[選択レイヤを表示]や[選択レイヤを隠す]などをクリック([Space]キーをクリックでも可能)することで、複数レイヤを一括して表示・非表示を切り替えることができます。
レイヤの名前の変更
QGISにレイヤを追加すると、ベクタレイヤのファイル名がレイヤ名として設定されています。
レイヤの名前を変更したい場合は、「レイヤパネル」より対象のレイヤを右クリックして、[レイヤの名前を変更]を選択します。なお、レイヤを選択した後に[F2]キーを押すことでも、レイヤ名の変更が可能です。
レイヤ名の編集が可能になるため、適切な名前を入力しましょう。ここでは「airp_jpn」というレイヤが空港レイヤを示しているため、「空港」という名称に変更しています。
変更が確定したら、[Enter]キーを押すことで変更が確定されます。
初期状態のレイヤ名のままだと、ファイル名によってはレイヤパネルで何のレイヤを示しているか判別しづらいことがあるため、レイヤの追加後は名称を変更するとよいでしょう。
レイヤ名とファイル名の関係
レイヤ名の変更方法を紹介しましたが、ファイル名も変わってしまうのではないかと心配になる方もいるかもしれません。レイヤ名はQGISプロジェクト内でそのレイヤを識別するために使われる名前となっているため、レイヤ名を変更しても元のファイル名は変更されません。
例えば、レイヤ名を変更したレイヤを右クリックして「プロパティ」→「情報」タブを選択すると、「一般情報」の「パス」という欄にこのレイヤが格納されているファイルパスが表示されています。
このパスを確認してみると、ファイル名は変更されていないことが確認できるでしょう。
レイヤ名の変更はプロジェクトを整理するのに役立ちますが、元のファイルには影響を与えないことを覚えておきましょう。
レイヤの表示順序の変更
QGISでは、複数のレイヤを重ねて地図を作成しますが、レイヤパネルで上にあるレイヤが下のレイヤを覆う仕組みとなっているため、目的に応じてレイヤの順序を適切に管理することが重要です。
例えば、レイヤパネルで背景地図(OpenStreetMap)が空港レイヤ(airp_jpn)よりも上に配置されている場合、背景地図が空港のポイントレイヤを覆い隠してしまい、表示されなくなってしまいます。
このようなケースでは、レイヤの表示順序を変更することで、必要なレイヤを適切に表示できます。
レイヤパネルから「OpenStreetMap」をドラッグして、「airp_jpn」の下に移動させましょう。
空港のポイントレイヤをOpenStreetMapを背景に表示することができました。
このように、作成したい地図や目的に応じてレイヤの表示順序を適宜変更しましょう。
レイヤの削除
レイヤの削除も、レイヤパネルから操作します。QGIS上から削除したいレイヤを選択し、レイヤパネル上部の[レイヤ/グループを削除]をクリック(右クリックして[レイヤを削除]でも可能)します。
「1件の凡例エントリを削除しますか?」というメッセージが表示されるため問題なければ[OK]をクリックしましょう。この手順で、QGISプロジェクト内からレイヤが削除されます。
QGISでレイヤを削除する場合、削除されるのはあくまでQGISプロジェクト内でのレイヤ参照であり、元のファイルが削除されるわけではありません。
ただし、QGIS内で一時的に作成した保存されていないレイヤ(一時スクラッチレイヤ)に関しては、保存せずに削除するとそのデータも消去されますので注意が必要です。
レイヤのグループ化
レイヤのグループ化は、複数のレイヤを一つのグループにまとめて管理する機能です。地図作成やデータ管理の際、関連するレイヤをグループ化することで、プロジェクトを整理しやすくなり、作業効率が向上します。
下記の図では、交通に関するレイヤとして「空港」「道路」「鉄道」「フェリー」が追加されています。これらのレイヤを「交通」というグループに追加してみましょう。
対象のレイヤを複数選択して、レイヤパネル上部の[グループ追加]ボタンをクリック(右クリックして「選択レイヤをグループにする」でも可能)します。選択したレイヤがグループに追加され、グループ名を編集できる状態となっているので、交通
と入力します。
このようにレイヤをグループ化をすることで、レイヤパネルの視認性も向上し、グループ単位でレイヤの表示・非表示を切り替えることもできるので、レイヤが増えてきた時の管理が容易になるでしょう。
おわりに
この記事では、レイヤパネルの操作について紹介しました。どれもQGISを使用する上ではよく使用する機能なので、ぜひ覚えておきましょう!