QGIS 3.38新機能 〜標高データのフィルタリングに対応〜
この記事でわかること
- QGIS 3.38の新機能
こんな人におすすめ
- QGISの最新機能に興味のある方
はじめに
2024年6月21日にVer.3.38「Grenoble」がリリースされました。
グルノーブルは「フランスアルプスの首都」として知られており、ほぼ360度山に囲まれた広大な谷に位置しています。まさに、このバージョンでは標高に関連するいくつかの改善点が反映されています。
Ver.3.38のチェンジログから、いくつかの新機能をご紹介します。
マップツール
2Dマップで標高データをフィルタリングするための標高コントローラを追加
新しい標高コントローラにより、ユーザーは2Dマップで標高データをフィルタリングすることができるようになりました。標高データのZ範囲をスライスする際に、時系列コントローラと同様の操作が可能になります。
この機能は、メニューバーより「ビュー」→「Data Filtering」からアクセスでき、時系列コントローラの新しいメニュー項目も含まれています。
コントローラはマップの左側にレンジスライダーとして表示され、プロジェクトの標高範囲を設定するアクションがあり、ウィジェットから利用可能な範囲を決定します。
また、標高コントローラの設定メニューには、固定された標高スライス幅を設定するオプションも用意されています。これは、特定の標高範囲幅を表示したい場合に使用できます。
ラベル
カートグラフィックラベルモードに「Over point」配置オプションを追加
ラベル配置モードが「カートグラフィックに配置」に設定されている場合、新たに「O = ポイント上」というラベル配置オプションが追加されました。
配置の優先度を式(エクスプレッション)で設定し、「O」を先に指定した場合、ラベルは対応するポイントの真上に配置されるようになります。
シンボロジ
ラスタ用の新しい単一色レンダラー
ラスタレイヤに単一色シンボロジが追加されました。
これにより、シンプルで使いやすい方法で、ラスタデータを単色でレンダリングできるようになりました。
メッシュベクターデータセットへの風向・風速を示す矢羽表示のサポート追加
矢羽は、地図上で風の強さと方向を視覚的に表示する一般的な方法です。今回、新たに追加された矢羽のシンボロジタイプにより、メッシュベクタデータセットでこのビジュアライゼーションスタイルを簡単に利用できるようになりました。
矢羽は風速をノット(海里毎時)で表示するため、データが正しく表示されるように、ユーザーはデータの単位を明確に選択するか、カスタムの乗数を使用して値をノットに変換する必要があります。
色選択UIにCMYKモードを追加
長らく要望されていた機能として、色選択ウィジェットにCMYKモードが追加されました。
これにより、印刷向けの出力が可能になり、大きな改善となっています。
おわりに
バージョン3.38では、特に標高データのフィルタリングに関するデータフィルタリングの面で大幅な改善が施されており、またCMYKサポートの追加も歓迎されています。これらが様々な新機能ですが、詳細についてはチェンジログでご確認いただけます。